シニアビジネスとは健全な収益事業で高齢社会の問題を解決すること 

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2010年11月24日 日経懇話会会報Vol.128 連載 シニアビジネス豊国論 第5回

年配層のなかには、「シニアビジネス」という言葉に自分たちが汗水たらして貯めてきた財産を騙し取ろうとする怪しげな商売をイメージする人も少なくない。擬似通貨「円天」のような年配層の不安をつく詐欺商法が後を絶たないからだ。

しかし、私が「シニアビジネス」という言葉を使う理由は別にある。それは、高齢社会の諸問題の解決は、福祉と言う美名のもとに安易に国費を投入することなく、健全な収益事業つまり「ビジネス」で行なうべき、と考えているからである。

なぜなら、日本のような経済成熟・超高齢国家は、国費投入型の社会保障政策では近い将来財政的に行き詰まるからだ。

日本以外の多くの経済成熟国を眺めると、福祉と呼ばれる分野に市場原理がどんどん浸透している。どの国も国費投入型の社会保障政策が行き詰まっているからだ。

国費のもとは、われわれの血税、保険料、そして国債つまり借金である。09年度の国債発行額は過去最大の53兆4550億円。この借金はいったい誰が返済するのか。

借金の先送りは、結局、子孫に膨大なツケを残すだけだ。 しかし、次の世代に残すべきなのは膨大な借金ではないはずだ。残すべきなのは、いまの世代が出しうる限りの「知恵」である。

低成長段階の経済成熟国が、本格的な高齢社会に突入したいま、「国費投入型の福祉」を「健全な収益事業」に極力置き換えていくことが必要だ。そのためには、「健全な収益事業」としての質と量双方のレベルアップが不可欠である。そのレベルアップのための「知恵」こそ、私たちが次の世代に残すべきものである。

(本文より抜粋)

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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