2013年1月3日 東京新聞 特集 長寿で経済ひらく
「不安」「不満」「不便」を当事者の立場に立って解消することが重要
日本で拡大する高齢者市場で成功するための秘訣は何か。高齢者を対象としたビジネスの現状に詳しい村田アソシエイツ(東京都港区)代表で、東北大特任教授の村田裕之さん(50)に今後の展望と課題を聞いた。
団塊世代の多くが二〇一二年に六十五歳を迎え、企業は高齢者向けビジネスヘのシフトを急いでいる。高齢者市場は、若年層に比べて多種多様なニーズがある小さな市場の集合体といった特徴がある。従来の大量生産・大量流通のやり方では通用しない場合が多い。新規に高齢者ビジネスを立ち上げたものの、ここで戦略を誤って失敗したケースは多い。
高齢者ビジネスで重要な視点は、高齢者が抱える健康や経済にかかわる三つの「不」に目を向けることだ。これは「不安」「不満」「不便」を指す。これらを当事者の立場に立って解消することが重要となる。
スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末に慣れ親しんだ世代が高齢化し、「スマートシニア」も急増するだろう。インターネットを活用して積極的に消費行動に出る高齢者が増えるということだ。
企業の高齢者ビジネスヘのシフトは今後、経済的発展を遂げた他の国でも必ず起こる現象だ。日本で既に成功している高齢者向けサービスが海外に輸出されていくケースが増加することは、十分考えられる。(談)
参考文献:シニアシフトの衝撃(ダイヤモンド社)