「コロナうつ」の原因と対策

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「朝活」でセロトニンを増やし、コロナうつを防ぐ

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第157回

コロナうつはなぜ起こるのか?

新型コロナウイルスの感染拡大で政府からは外出自粛要請が続いている。オフィスには行かず、テレワークでの対応が会社から依頼されている方も多いだろう。5月の連休は帰省の代わりに「オンライン帰省」の要請が出た。

私もテレワークを余儀なくされ、頻繁にオンラインでの会議を行っている。ところが、これが結構疲れる。慣れていない面もあるが、対面に比べてコミュニケーション時の情報量が少ないことや通信トラブルが多いことが精神的ストレスになる。

また、外出が思うようにできない生活が続くのが大きなストレスだ。こうしたストレスの蓄積と、新型コロナウイルス禍の終息が見えないことで先行き不安感が強まり「コロナうつ」へと進行していく人が増えている。

精神を安定させるセロトニンとは?

こうした不安感をなくし、精神を安定させ、脳内に負の記憶、マイナスのイメージが過剰に形成されるのを抑制するのが脳内に分泌される神経伝達物質「セロトニン」だ。これは「調節系」の神経伝達物質の一つで、ドーパミンやノルアドレナリンといった興奮性の神経伝達物質の活動を調節する役割がある。

セロトニンが重要なのは、朝になると目が覚め、夜になると眠るという「生体リズム」に関わっているからだ。セロトニン神経系は脳の視床下部という部位にセロトニンを放出して、睡眠と覚醒に関わっている。

そのためセロトニン神経系の活性度が低下すると、視床下部に信号が行きにくくなり、寝起きが悪くなるなど睡眠障害の原因になる。

また、セロトニンは睡眠ホルモン、メラトニンの原料になっている。このためセロトニンが不足するとメラトニンも不足して眠りが浅くなり、やはり睡眠障害の原因になる。

さらに、セロトニン活性が低下すると不安感が強くなり、うつ病の原因になる。コロナうつの原因は前述のストレスからくる不安感でセロトニン活性が低下するからだ。

日常生活での脳内セロトニンの増やし方

日常生活においてセロトニン神経系を活性化させる一つ目の方法は「太陽の光を浴びる」ことだ。具体的には朝、照度2500ルクス以上の光を5分以上浴びるのが必要だ。

この光刺激が網膜から脳幹の縫線核という部位に伝わると、セロトニンの生合成が始まる。これにより、脳全体にわたるセロトニン神経系を通じて脳が〝覚醒状態〟になる。天気が悪くても外に出て太陽の光を浴びることが重要だ。

二つ目の方法は「リズム運動」をすることだ。これは「イチ、ニ、イチ、ニ」とリズミカルに運動をすることで、ウォーキング、よく噛んで食べること、ヨガや太極拳などの吐き出す呼吸が挙げられる。

コロナうつ対策の一番は「朝活」

私は長年、朝のシャワーを習慣にしている。朝にシャワーを浴びるとセロトニン活性が上がるかどうかは不明だが、全身が活動モードに切り替わるのを実感する。

この理由はシャワーを浴びることで体温が上がるからだ。寝ている間は体温が下がっていて、起床して体温が上がると臓器が動き出して体内のエンジンがかかり、ますます体温が上がるのだ。

私にとっての朝のシャワーは活動モードへのスイッチになっている。自律神経の面から見ると、寝ている間はリラックスの神経である副交感神経優位だが、起床すると活動の神経である交感神経が優位になる。

ちなみに、交感神経が優位になると免疫細胞の一つであるNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が上がることがわかっている。

「どうもコロナうつ気味で調子が悪いんだよ」という方は是非明日から、朝起きて太陽の光を浴びながら、リズミカルに30分歩いてみることをお勧めする。その後シャワーを浴び、よく噛んで朝食をとる。

この一連の「朝活」が日常生活のなかで脳内にセロトニンを増やし、コロナうつを解消するのに有効だ。

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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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