スマート・エイジングが提案するウィズコロナ時代を生き抜く方法

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ノジュール2020年8月号 今日から始めるスマート・エイジングのススメ

「加齢に対する適応力」を備えていくこと

私は「スマート・エイジング」を「成長する歳の取り方」であると説明しています。

ここで「成長する」とは、加齢に伴う身体や心の変化、社会の高齢化による環境変化に対する適応力を身に着けることです。

したがって、スマート・エイジングとは「加齢に対する適応力」を身に着ける生き方と言えます。

このようにスマート・エイジングは、個人の加齢と個人の集合体としての社会の加齢、つまり高齢化という変化に着目しています。

ところが、今年に入って新型コロナウイルス感染症が世界中で一気に広がり、社会が大きく変化しました。この社会変化は個人の生活スタイルも大きく変えました。

新型コロナウイルスで生活はどう変わったか?

外出自粛に伴い導入されたテレワークは、自粛要請解除後も継続している企業があるかと思います。これにより通勤時間と通勤ラッシュによるストレスがなくなり、仕事が生産的になったという人が多いです。

一方、在宅時間が長くなり外出機会が減って、「コロナ太り」の方も多いようです。これは日本だけでなく世界共通のようです。

先日アメリカの友人とZoom(オンラインで会議をするアプリ)で会議をしたら、「台所が自動販売機になっている」と言っていました。これは在宅勤務が増え、仕事の合間に台所に行って食べ物や飲み物を取る頻度が多くなったという意味です。

また、テレワークではZoomのようなオンラインでの会議が頻繁になります。ところが、これが結構疲れます。対面に比べコミュニケーション時の情報量が少ないことなどが、精神的ストレスになるのです。

さらに、コロナウイルス禍の終息が見えないことで先行き不安が強まり、「睡眠障害」を起こす人や「コロナうつ」の人が増えています。

「ウィズコロナの時代」に注目される免疫力

外出自粛要請により感染件数が減ると自粛が解除されます。しかし、人の移動が増えるとまた感染件数が増え、再び自粛要請が強まります。

海外ではこの繰り返しが何度も起きています。これが「ウィズコロナの時代」の現実であり、日本でも同様になると予想されています。

こうした背景で最近、自己防御としての「免疫力」に注目が集まっています。免疫とは元々、一度伝染病(疫病)にかかると同じ疫病から免れることを指していました。

この仕組みを現在では「獲得免疫」といい、B細胞から生成する抗体が異物(抗原)に対して特異的に反応して排除する「体液性免疫」と、キラーT細胞のようにがん細胞や感染細胞を排除する「細胞性免疫」があります。

今後開発が期待されるワクチンは人工的に獲得免疫を得る方法です。しかし、これが市場に出るのは早くて本年末、遅ければ来年後半と言われており、まだ時間がかかりそうです。

一方、免疫には獲得免疫以外に「自然免疫」があります。これは好中球やマクロファージなどの白血球が異物を食べて取り込む仕組みと、NK(ナチュラルキラー)細胞というリンパ球が感染細胞を攻撃する仕組みです。

実はこの自然免疫の力は、ワクチンができるまでの間でも、私たちの努力で高めることができます。具体的には1日30分以上の有酸素運動を1か月以上継続することで血液中のNK活性が高まると言われています。

「加齢適応力」を高めて「コロナ適応力」も強化

「コロナ太り」はストレスによるカロリー過剰摂取と運動不足が原因です。これを解消するには、食事のバランスを見直すことと運動時間を増やすことです。

食事については昨年11月号で述べた「スーパー和食」が今こそ参考になります。お米を中心に、魚介類、豆類、海藻類などの食品が多い昭和50年代の食事を摂るように心がけましょう。

運動については本年3月号で述べた、心拍数が120から130程度(50代の場合)の「有酸素運動」を一日30分程度行うことです。手軽で最もおすすめなのはウォーキングです。

また、「コロナによる睡眠障害」対策は昨年12月号で述べたぐっすり眠る方法を試してみてください。寝る2時間前からお酒・運動・食事を控えて、リラックスモードにシフトすることを心がけるようにしてください。

「コロナうつ」対策は、本年1月号で述べた脳内セロトニンを増やす「朝活」を行うことです。一日の始まりは太陽の光を浴びて、「イチ・ニ」とリズムを意識した運動を試してみてください。

こうして改めて見ると、「加齢適応力」を身に着けるための方策は、「ウィズコロナ」による環境変化への適応力を高めるものになっています。

この半年で、人生100年時代を生き抜くには「コロナ適応力」が不可欠と気づかされました。そして、スマート・エイジングの実践により「加齢適応力」を高めることが「コロナ適応力」を高めることなのです。

継続は力なり、本連載を読まれた方がスマート・エイジングの実践を続けられることを願っています。

スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣

ノジュール

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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