まごチャンネル テレビ越しの親孝行

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日本経済新聞夕刊 2017年9月14日 読み解き現代消費

日経夕刊2面の連載コラム「読み解き現代消費」に寄稿しました。この連載は連載開始から3年以上経過していますが、おかげさまで評判が良いようで、来年3月までの継続が決まっています。

現代はスマホ、タブレットで手軽に写真や動画が見られる時代。しかし、ネックは画面が小さいこと。スマホ全盛時代だからこそ、スマホではできないことに価値が上がります。今回はそんな事例を取り上げました。

スマホ全盛時代だからこそ、スマホではできないことに価値が上が

奈良市に住む後藤次郎さん(67)と妻の幸子さん(66)は最近テレビをよく見るようになった。といっても見るのはテレビ番組ではなく、東京に住む2歳の孫の動画と写真だ。「孫が目の前にいるみたい」「こんなに話すようになったんだ」とテレビにくぎ付けだ。

後藤さんは「スマートフォン(スマホ)でも孫の動画は共有できたが、やはりテレビの大画面で見ると感動する。まるで目の前にいるようで、つい話しかけてしまう」とうれしそうだ。

2人が使っているのはチカク(東京・渋谷)「まごチャンネル」。あらゆるモノがネットにつながるIoT家電だ。家の形の受信ボックスを自宅のテレビとケーブルでつなぐだけ。通信回線は内蔵なのでネット環境がなくても使える。

孫と住む東京の息子がスマホの専用アプリを使って送る動画や写真が届くと、「家」の窓ランプが点灯する。まるで祖父母の家に孫がやってきたようだ。

まごチャンネルはIoTという「ハイテク」による「ハイタッチ」の実現

シニアにも簡単な操作とIT機器らしくないデザインが好評で、既に利用者は3000人を超えた。「スマホの画面では分からない日常の様子が見られ、一緒に成長を見守っていけるのがうれしい」「親戚や近所の方にも見せて自慢したい」といった声が数多く寄せられている。

孫の動画・写真を送る息子夫婦からも「交通費が高いので年数回しか帰省できないが、今しか見られない成長の様子をリアルタイムで伝えられ、親孝行できる」と評判だ。さらに「専用アプリでいつ視聴したかが分かり、遠く離れた両親の見守りにもなる」などの開発側の予想を超えた反響も多い。

IoT家電という言葉が登場して数年がたつ。まごチャンネルが示しているのはIoTという「ハイテク」による「ハイタッチ」の実現だ。これこそが超高齢社会・日本が目指すべき姿ではないか。

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まごチャンネル

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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