世代特有の嗜好性とシニアの消費行動との関係

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Clinic ばんぶう1月号連載 データから読むイマドキ「シニア」の実態第6回

世代原体験が特有の消費行動に影響

異なる世代特有の嗜好性と消費行動との関係を知るためには、「世代原体験」が影響を及ぼす消費行動について理解することが有用です。

世代原体験とは、ある特定の世代が幼少期から、おおよそ20歳前後までに共通に体験する文化の体験をいいます。これには食生活、文学、音楽、映画、漫画、テレビ番組、ファッション、スポーツなどがあります

各世代の幼少期から20歳までの文化・世相を知っておくと、当該顧客と接する時の消費行動を理解する一助になります。

世代原体験が、齢をとってからの消費行動に影響を与えることがあり、「ノスタルジー消費」、「時間解放型消費」などの形態で現れます。

ノスタルジー消費とは世代原体験を懐かしんで生まれる消費形態です。復刻版CDやDVD、映画のリメイクなどが売れる場合、これに当たります。

映画「ALWAYS 三丁目の夕日」は、昭和30年代を舞台した西岸良平の漫画「三丁目の夕日」を原作としたもので、建設中の東京タワーや上野駅、蒸気機関車C62、東京都電、ダイハツの三輪自動車ミゼットなど当時の東京の街並みを再現させたことで団塊の世代以降の世代に大ヒットしました。

ノスタルジー消費は、世代原体験後20年以上時間が経過した頃によく見られます。言い換えると当該世代が40歳代以降に達してから見られやすい消費形態といえます。

時間解放型消費は、子育て終了や転勤、退職などをきっかけに時間の拘束から解放されて起こります。これには、昔やっていたことにもう一度取り組むことで自分らしさを取り戻そうとする「自己復活消費」、昔は経済的にも時間的にも実現できなかった夢を、今実現する「夢実現消費」があります。

自己復活消費の対象には、音楽バンド、社交ダンス、絵画、登山、写真など、学生時代や20歳代に注力していたものが多いようです。日常生活では倹約気味の人でも、ギター演奏が好きでバンドに参加している人は、50万円のギターを買うことも厭わないのです。本格的に登山をする人は、プロ仕様の登山靴や登山用品に何十万円もお金をかけます。

夢実現消費の対象は、高級オーディオ、楽器演奏、スポーツカー、ラジコン、プラモデル、ダイビング、世界一周旅行など人によってさまざまです。近年のアナログレコード復興ブームは、学生時代にアナログレコードとオーディオに凝っていたものの、お金がなくて高級品には手を出せなかった人たちがけん引しています。

こうした時間解放型消費は、経済的にも時間的にも余裕のできる50歳代以降に多く見られます。

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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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