年代ごとに異なる消費支出 支出額は所得に比例する

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Clinic ばんぶう9月号 連載 データから読むイマドキ「シニア」の実態 第2回

ばんぶう_9月号_表紙シニア層は、所得は少ないが他の年齢層より資産は多いことから、「やっぱり資産持ちなので日常消費も多いのだろう。都心のデパートなどで高級品を買っているのは大半がシニア層ではないか」といった声が聞こえてきます。実態はどうでしょうか。

総務省統計局「家計調査」2014年を眺めると、世帯主の年齢階級別の世帯当たり1か月間の「消費支出」は、50歳代が30万3千3百円、40歳代が29万4千5百円と金額が多く、60歳代、70歳代になると減少します(図)。1か月間の「消費支出」の傾向は、第1回で取り上げた世帯主の年齢階級別「年間所得」の傾向にほぼ比例していることがわかります。

この数値は、年間の消費支出を12カ月で除したもので、厳密には毎月の各費目の割合は多少変わっています。また、支出の中身は、毎月定期的に支出している食費や家賃などの「日常的支出」もあれば、年に数回しか支出しない旅行や冠婚葬祭のような「非日常的支出」も含まれています。

しかし、この1か月間の「消費支出」の費目の大半は「日常的支出」です。また、世帯主が60歳代以上の世帯の主たる所得は年金であり、年金は隔月に一度の支払いですが、支払金額は毎月ほぼ一定です。

ばんぶう_9月号_掲載これらより、世帯主の年齢階級別の世帯当たり1か月間の消費支出は、ほぼ毎月の所得に比例していると言えます。つまり、資産が多いからと言って、それが日常消費に回っているわけではありません。

消費行動で見た場合、毎月の消費支出は50歳以上では年代が上がると一般に減少します。しかし、費目ごとに見ると、減少するもの、増加するもの、変わらないものがあります。

まず、支出が減少するものは、教育費、被服・履物費です。これら以外に食費や教養・娯楽費も支出は減りますが、支出全体における割合は増えます。次に、支出が増加するものは、保健医療費です。これは医療や介護、健康維持などにかかる支出です。

一方、支出が変わらないものは、住居費、光熱・水道費です。この理由は、多くの人が50歳代まで住んでいる家にその後も住み続けるので、家族構成が変化しても出費があまり変わらないからです。

このように50歳代、60歳代、70歳代では支出の仕方が異なります。この違いがあることは50歳代以上の人であれば感覚的に理解しやすいでしょう。ところが、40歳代より若い人には、これがなかなか理解しにくいようです。20歳代、30歳代の人は、自分が60歳代、70歳代になった時のことは想像できないし、想像したくもないのが普通でしょう。

以上が、シニア層の一般的な消費傾向ですが、こうした消費が起こるシニア層特有の背景・理由があります。次回はそれを解説します。


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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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