新陳代謝型のビジネスモデル

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高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功さらなる12のヒント 第8回

平日でもシニアがよく行く「スーパー銭湯」という業態は、600円程度の入浴料で天然温泉をはじめ、10種類程度の風呂が楽しめる。だが、入浴料だけでは実はそれ程利益は上がらない。

ところが、入浴すれば汗をかき、ノドが渇く。このため風呂から上がればビールやジュースが飲みたくなり、飲めば何かを食べたくなる。そして、食べ終わればマッサージや休憩もしたくなり、数千円のマッサージを受け、有料の休憩室で一休みする。

休憩後は、理髪店に行き、アカスリをやる人もいる。さらに、また風呂に戻ってこのプロセスを繰り返す人も少なくない。この結果、一人当たりの客単価は、平均で入浴料の4、5倍になる。

利用者がシニアとは限らないが、東京・後楽園にある「ラクーア」という施設も基本的に同じモデルだ。

ラクーアの場合、入館料が大人の場合、2,634円(ヒーリングバーデという床暖房・低温サウナのコーナーを利用すると864円追加が必要)と、スーパー銭湯の4、5倍の価格だが、レストラン、ボディケア、リラクゼーション、アメニティのメニューが飛び抜けて充実しており、人気がある。

館内の支払いは、入館時に渡されるICチップ入りの「リストバンド」か、予め登録したスマホ・携帯電話で、どの店でも可能だ。このため、キャッシュを持ち歩かずに何でも簡単に購入できる。

この「何でも簡単に購入できてしまうこと」が、ネット通販のアマゾンのワンクリック同様に来店者の財布の紐を緩める仕掛けとなっている。

これらのビジネスの特徴は、身体の新陳代謝が促されることが消費につながる「新陳代謝型ビジネス」だという点だ。実はカラオケもこの「新陳代謝型ビジネス」の典型である。

このモデルの勘所は、一つの消費行動が次の消費行動の意欲を喚起するような商品・サービスの組み合わせになっていることだ。こうした消費意欲が「連鎖的」に喚起されやすい構造だと、来店者の消費行動が継続しやすくなる。ここが重要だ。


成功するシニアビジネスの教科書
高齢者住宅新聞

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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