団塊ビジネスへのアプローチ法

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2005年1月31日 「UFJ総研 Issue of Management」2月号 特集

団塊世代という名称は、堺屋太一氏が名づけ、著書がヒットして以来、そう呼ばれ続けてきた。

年代あたりの人口が他の年代に比べて多いため、市場のボリュームゾーンとみなされてきた。

だが、経済成熟期の現代において、対象が団塊世代だというだけで、本当に市場のボリュームゾーンになるのだろうか。

答えは否である。その最大の理由は、高度成長時代と現代とでは、「市場の性質」が大きく異なるからだ。

(中略)

このように団塊世代に属する個人の消費行動は、非常に「多様」であり、団塊市場とは、「多様なミクロ市場の集合体」なのである。 これが高度成長時代の団塊市場と大きく異なる点だ。

モノが少ない高度成長期は、多くの人が、同じような収入レベルで、同じような生活スタイルを送っていた。このため、団塊市場はあたかも「均質のマス・マーケット」であった。

団塊世代と命名された時期には、その時代を象徴する言葉として的を射ていた。 ところが、広く一般化したこの言葉も、モノにあふれた現代には、もはやそぐわない。

もちろん、団塊世代と命名された四七年から四九年生まれの人口の多い世代が、いまも存在するのは事実である。だが、他の世代に比べて人口が多いことと、その世代の人たちが似通った消費行動をとることとは、別のことである。

顧客を「ひとくくり」に扱う見方は、いわば高度成長期の産物である。そして、高度成長期に成功体験をもつがゆえに、その呪縛から脱出できない経営者も依然多い。 だが、このような見方は、現代の多様性の強い団塊市場の性質に合っていないのである。

したがって、この「多様性市場(diverse market)への適応力」をもつことが、団塊ビジネス成功の要諦なのである。この多様性市場に適応するために、どのような工夫が必要なのかを事例を挙げてお話したい。

(本文より抜粋)

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