季刊 ひょうご経済 2007年7月 第95号

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2007年7月 第95号 季刊 ひょうご経済
 
モノが少ない高度成長期は、多くの人が、同じような収入レベルで、同じような生活スタイルを送っていた。このため、団塊市場はあたかも「均質のマス・マーケット」のようだった。ところが、モノにあふれた現代は違う。拙著「シニアビジネス 多様性市場で成功する一〇の鉄則」(ダイヤモンド社)で述べたように、団塊世代の個人の消費行動は、非常に多様であり、団塊市場とは、「多様なミクロ市場の集合体」なのである。

(中略)

顧客を「ひとくくり」に扱う見方は、いわば高度成長期の産物である。そして、高度成長期に成功体験をもつがゆえに、その呪縛から脱出できない経営者も依然多い。したがって、これらの「壁」を突き破るためには、従来のやり方にとらわれない発想の転換が必要だ。

(中略)

一つの事業分野に取り組んでいると、どうしても既存のビジネスモデルや業界慣習などに知らず知らずのうちに影響を受けてしまう。競合他社のやり方を研究すること自体はよいのだが、一方で、そうした既存の考え方が頭の中に染みついて、逆に自由に発想できなくなってしまう落とし穴がある。このような視野狭窄に陥らないためには、自分のターゲット事業以外の異分野の動きに目配りしたうえで、自分のターゲット事業に照らし合わせて考えるという「水平思考」のスタイルが不可欠だ。つまり、団塊世代向けビジネスでブレークスルーを起こすには、「団塊世代だけ」に注目していてはいけないのである。

(本文より抜粋)

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