季刊 ひょうご経済 2007年7月 第95号

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2007年7月 第95号 季刊 ひょうご経済
 
モノが少ない高度成長期は、多くの人が、同じような収入レベルで、同じような生活スタイルを送っていた。このため、団塊市場はあたかも「均質のマス・マーケット」のようだった。ところが、モノにあふれた現代は違う。拙著「シニアビジネス 多様性市場で成功する一〇の鉄則」(ダイヤモンド社)で述べたように、団塊世代の個人の消費行動は、非常に多様であり、団塊市場とは、「多様なミクロ市場の集合体」なのである。

(中略)

顧客を「ひとくくり」に扱う見方は、いわば高度成長期の産物である。そして、高度成長期に成功体験をもつがゆえに、その呪縛から脱出できない経営者も依然多い。したがって、これらの「壁」を突き破るためには、従来のやり方にとらわれない発想の転換が必要だ。

(中略)

一つの事業分野に取り組んでいると、どうしても既存のビジネスモデルや業界慣習などに知らず知らずのうちに影響を受けてしまう。競合他社のやり方を研究すること自体はよいのだが、一方で、そうした既存の考え方が頭の中に染みついて、逆に自由に発想できなくなってしまう落とし穴がある。このような視野狭窄に陥らないためには、自分のターゲット事業以外の異分野の動きに目配りしたうえで、自分のターゲット事業に照らし合わせて考えるという「水平思考」のスタイルが不可欠だ。つまり、団塊世代向けビジネスでブレークスルーを起こすには、「団塊世代だけ」に注目していてはいけないのである。

(本文より抜粋)

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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