宿泊施設の事前確認で満足度アップ シニア旅行の注意点

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地方の旅館で時々見られる急で長い階段

夕刊フジ2月25日号「食と健康 ホントの話」

部屋から大浴場までの階段数・勾配はサイトにはまず掲載されない

シニアの旅行で、気になるコロナ対策を前回お伝えした。今回はそれ以外の、移動や食事などについて、シニアが旅行で気をつけたい点をお伝えしたい。

シニアは、車いすを使っていない人、自立して歩ける人でも、足腰が弱っている人、昔ほど健脚ではない人が多い。そのため旅行するときに一番気を付けなければいけないのは、泊まる旅館や立ち寄り先に、シニアにとってのバリア(障壁)がどのくらいあるかを調べることだ。

高齢社会研究の第一人者である、東北大学特任教授で村田アソシエイツ株式会社代表取締役の村田裕之氏は、それをしないと、たとえばお風呂に入れなかったなど、旅行の楽しみが半減してしまうことも少なくないという。

「たとえば泊まる部屋から大浴場までに、階段がどのくらいあるとか、距離がどのくらいあるのかなど、事前に調べたほうが失敗は少ないでしょう。予想外に階段が多くて楽しみにしていた温泉に入るのを諦めたり、移動に時間がかかって湯冷めしてしまい、満足度が半減してしまった、ということもあります」

宿泊先の詳細情報をどこまで把握しているかで旅行会社の実力がわかる

とはいえ、ウェブサイトやカタログの情報でそこまでわかるものはあまりない。そこで村田教授は、シニア旅行に強い旅行会社やウェブサイトを使うことをすすめている。

たとえば、シニア旅行のパイオニアである「クラブツーリズム」は、コロナ禍以前は車いすの人のみの旅行、バリアフリーの旅などを開催していたこともあり、シニアのニーズにマッチした旅行商品を数多く用意している。

また温泉旅行に強い「ゆこゆこ」は、近年の人手不足で電話での問い合わせ窓口がなくなる傾向にある旅行代理店にあって、逆を行く電話予約サービスで人気となっている。

単に予約代行をするだけでなく、掲載している温泉地や宿泊施設の情報を熟知。バリアフリー度など、気になることがあれば問い合わせてから行き先を決めたい。

「元気な人は若い人と同じように移動の多い旅行を楽しめますが、より年配の方の旅行の傾向としては、湯治型の旅を好む人が多いようです。

また一人旅を楽しむ人も女性に多いですね。おひとり様専用のツアーは人気がありますし、おひとり様の多く来る宿では参加型イベントが充実していることも多く、お客さん同士でかなり楽しめます」

60歳を超えたら量より質で バイキングはなるべく避ける

日本の温泉旅館に多いのは、バイキング(食べ放題)だ。人手不足の影響も大きいが、食事量が不足して不満を持たれる心配がないことも、導入するところが多い理由だ。

しかしバイキングは、思った以上に多く取ってしまい、食べ過ぎることに。

「やむを得ずバイキングになってしまった場合は、避けるものを決めておくといいでしょう。たとえば脂っこいもの。天ぷら、唐揚げなど、とくにカロリー制限が必要な人はやってみてください。飲みすぎにも注意です。飲んだあとにすぐにお風呂に入るのも危険です。食事の前か、食後2時間以上たってからが安全です」

シニア世代は、もったいない精神があるので残さず食べてしまいがち。しかしそれで病気が悪化するほうがよっぽどもったいないので、旅行のときくらいはその精神は忘れて楽しんでほしい。

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