シェアリング・エコノミーとシニア市場の可能性

新聞・雑誌

高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功さらなる12のヒント 第10回

シェアリング・エコノミーとは、個人保有の遊休資産(スキルのような無形資産も含む)の貸し出しの仲介サービスによる経済活動の総称をいう。貸主には遊休資産活用による収入メリット、借主には所有なしに利用できるメリットがある。

ただし、貸し借りが成立するためには、信頼関係の担保が必要だ。この仕組みとしてソーシャルメディア活用による緩やかなコミュニティ機能の活用が多い。

海外では10年以上前からシニア向けサービスにシェアリング・エコノミーの事例が見られる。Seniors Home Exchangeはシニア同士に特化した自宅の貸し借りサービス、ITN (Independent Transportation Network)は、高齢者向けの低価格輸送サービス、などが該当する。

ただし、これらはスマホの普及や高速ネットインフラ整備以前に開発されたもので、利用者層が限られていた。

これに対し、近年の例はネット、スマホの飛躍的発達・普及で出現したものだ。代表格はAirbnb(エアビーアンドビー)。これはネット上で個人宅の空き部屋をシェアするもの。いわゆる民泊の一種である。

最近の調査では、日本でAirbnbを利用して民泊を提供する60歳以上のシニアホストは前年比235%増えた(人数は約900人)。年齢別でも、「60~90歳」の伸びが最も大きい。

興味深いのは都会よりむしろ地方でシニアホストの割合が大きいこと。和歌山県田辺市、静岡県伊東市、大津市といった地方都市が上位に並ぶ。これらの地域には世界遺産や観光地に近いという共通点がある。

シニアによる民泊提供は、シニアが抱える「3K(健康、経済、孤独)不安」の解消につながるだけでなく、国内外からの訪問者を増やし、地方経済の活性化にも貢献する。

民泊は旅館業界ではグレーな存在ともいわれ、反対運動もみられる。だが、高齢者への補助金バラマキではなく、高齢者自身の自主的活動を促すのが日本のような超高齢社会に不可欠なアプローチだろう。この点から規制強化し過ぎない速やかなルール整備が望まれる。

成功するシニアビジネスの教科書
高齢者住宅新聞

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

村田 裕之をフォローする
メディア新聞・雑誌
シェアする
村田裕之オフィシャルサイト
タイトルとURLをコピーしました