ニューシニアが闊歩する社会が暗いはずがない

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WorksReport2011 成熟期のパラダイムシフト 新事業プロデューサーの“遠眼鏡”

リクルート_レポート2011(表紙)2020年に65歳に達し、新しくシニアの仲間入りを果たすのは1950年代半ばに生まれた人たちです。このニューシニアには大きく3つの特徴があります。

1つは健康消費。理由は、自分の親の介護を経験する、認知症で苦しむ家族を身近で見ている人の割合が多いからです。このため、「親のようにはなりたくない。できるだけ子供や他人の手を借りずに元気にいたい」という意識が強まるからです。この点から健康産業はこれまで以上に有望となるでしょう。

2つはメリハリ消費。年金が目減りしていくのは確実ですが、現役時代より生活水準を落とそうとは思わないでしょう。すると、普段の消費は抑え気味にする一方、趣味や旅行といった、自分の好きなことにはお金を惜しまない、という消費スタイルの人が多くなるはずです。

3つは複線型のキャリア志向。長生きすることが分かっている半面、社会保障の先行き不安から、定年後も稼げるうちは稼ごうと言う意識が一段と強まります。定年後も継続雇用を利用し、今の会社にいられるだけいる。それが無理になったら、自分の得意技で年金以外の副収入を得るように工夫する。ということは、会社務めをしながら、自分の特技や趣味を磨いて準備する「複線型のキャリア志向」が強まると予想されます。

都会と生まれ故郷ダブル拠点のシニアが増える

団塊世代より若いこの世代はITスキルがありますので、SNSなどを使って自分の活動領域を積極的に広げていくでしょう。これが4つめの特徴です。仕事で培った知識やノウハウをネットで販売する人も増えてくるでしょう。先ほど挙げた「得意技で収入を得る」の新型です。

都市部集中の反動か、今は都会に居住しているけれど、自分の生まれ故郷と何らかの関わりをもちたい、という4050代も増えています。都会と生まれ故郷の双方に拠点をもって何らかの活動をする人がさらに増えていくでしょう。ただし、拠点といっても物理的なものである必要はありません。地域活性化を志すNPOに参加する、SNSの同窓会コミュニティに登録するのでもいいわけです。

こう言う場合、シニアの受け皿として役割が高まるのがNPOです。ただし、上下関係が明確な営利企業とは違い、一般には組織がフラットで権限と役割もはっきりしていませんので、コピー取りからお茶出しまで何でも自分でこなさなければなりません。しかし、この世代は従来のシニアと比べてそうした環境でも柔軟に動ける人の割合(特に男)が増えるでしょう。

少子高齢化というと、とかく暗い話になりがちですが、こうした特徴をもつニューシニアがたくさんいて、いきいきと活動する社会が暗いはずがないと思いませんか。

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