ポケモンGOとシニアのコト消費・モノ消費

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シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第113回

本格的な市場展開はこれから

7月22日に日本でもリリースされた「ポケモンGO」は、リリース直後の熱狂的なブームは一段落したが、依然多くの人が楽しんでいる。

「ポケモン」というと若者向けゲームと思われがちだが、50代以上もそれなりの割合がプレイしている点に注目だ。調査会社のインテージによれば、8月15日現在で50歳以上の男性の17%、女性の12%程度がプレイしている。

ポケモンGOの社会現象やプレイの仕方については、既に多くのメディアやネット上で語られている。本稿では、ポケモンGOというコト消費が、どのようなモノ消費につながるのかを整理する。

ポケモンGO自体への課金消費

ポケモンGO を運営するナイアンティック社の主な売上は、①ポケモンGOのトレーナー(利用者)への課金、②スポンサー料である。

ポケモンGOは基本的に無料でプレイできるが一部有料となっている。前述の調査によれば利用者がお金を支払った割合は全体の9.5%。主な内訳は、501円から1000円が2.7%、1001円から2000円が2.5%、500円以下が1.8%、2001円から3000円が1.2%となっている。

一方、ギネスワールドレコーズによれば、ポケモンGOリリース後1カ月の全世界での売上高は2億650万ドル(約206億5,000万円)。全世界でのスマホによる事業展開は利用者数が膨大なため、課金利用者が一割未満でも相当の売上になることがわかる。

他方、スポンサー料は現時点では非公開だ。スポンサーの店舗は「ポケストップ」や「ジム」となり、集客効果が期待される。第一号の日本マクドナルドホールディングスは7月の売上高が前年同月比26・6%増。明らかに集客効果が表れている。映画館のTOHOシネマズがスポンサー第2号となった。

ただ、現時点では、ポケモンGOに関する話題提供によるメディア露出の方が宣伝効果は大きい。調査会社のエムデータによれば、日本ではリリースした7月22日からの11日間で267番組、累計31時間43分9秒の露出で、234億1194万円の広告効果とのことだ。

ポケモンGOを楽しむための消費

ポケモンGOを楽しもうとすると様々な周辺商品を消費する。その代表は飲み物と携帯バッテリーだ(図表1)。

トレーナー(利用者)のレベルが上がると「バトル」と呼ばれるポケモン同士の戦いを行うようになる。バトルで勝つには、究極「カイリュウ」などの強いポケモンが必要になる。入手のためにはカイリューの進化予備軍である「ミニリュー」「ハクリュー」が必要だ。

例えば上野公園の不忍池はこれらが入手しやすいため、大勢のトレーナーが集まり、数時間滞在する。

こうした理由で、飲み物や食べ物、バッテリー、日焼け止めや虫刺され防止商品、交通機関へ出費される。前述の調査によれば、ポケモンGOを楽しむために一人当たり平均4016円出費している。

ポケモンGOを用いた観光消費

鳥取県は鳥取砂丘にポケストップが数多く存在することに目を付け、鳥取砂丘をゲーム解放区として宣言し、ポケモンGOポータルサイト『とっとりGO』を公開した。鳥取砂丘では無料Wi-Fiも整備されており、ポケモンGOを観光客の誘致につなげる考えだ。

一方、東日本大震災や熊本地震で被災した岩手、宮城、福島、熊本の知事がポケモンGOを活用した観光客誘致に取り組むと発表した。

宮城県の村井嘉浩知事は「若い世代に被災地の現状を知ってもらうきっかけにしたい」、岩手県の達増拓也知事も「国外の人たちに津波被害のあった沿岸部に遊びにきてほしい」と呼びかけた。

ポケモンGOの集客力を地方への集客に活用したい地方自治体は多い。一方、ポケモンGOの仕組みは旅行との相性が良く、旅行好きなシニア層への親和性が高い。今後これを活用した新たなシニア市場が生まれてくる可能性が大きい。

成功するシニアビジネスの教科書
シルバー産業新聞社

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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