ネット通販、シニアにも 便利さでじわり浸透

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日本経済新聞夕刊 2016年9月7日 読み解き現代消費

日経夕刊2面の連載コラム「読み解き現代消費」に『ネット通販、シニアにも 便利さでじわり浸透』を寄稿しました。

「読み解き現代消費」は、毎週水曜日、気になる消費トレンドについて、その背景などを読み解くコラムです。私も執筆者の一人に名を連ねており、一か月半に一度のペースで寄稿しています。以下に全文を掲載します。

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千葉市に住む飯塚敏弘さん(72)は定年退職後にパソコンを習得し、今では旅行の申し込みや食料品購入にインターネット通販を活用している。複数の会社の価格や品質、サービスを細かく比較し、注文を決めているという。自宅からスーパーまで距離があるが、ネットスーパーで注文すれば「飲料や酒など重いものを運ぶ必要がない」のも気に入っている。

飯塚さんのようなシニアのネット通販利用者は確実に増えている。総務省の家計消費状況調査(2015年)によれば、2人以上の高齢者世帯の1カ月当たりのネット通販利用額は03年に460円だったのが、14年には3462円に増えた。7倍の伸びだ。

ネット通販を利用する世帯の割合を年齢別に見ると、39歳以下が45%と最も高く、40代(42%)、50代(38%)も40%前後に達する。これに対し、60歳代は22%、70歳以上は11%にとどまる。シニアのネット通販利用が増えたといっても、若い層に比べるとまだ利用割合は少ない。

ところが、ネット通販の利用世帯に限定して年間支出総額を見るとどうだろう。60代が39万9336円、70歳以上が38万7804円と、最も多い50代の40万7988円に迫っている。つまり、利用割合はまだ少ないものの、購入額は50代と肩を並べる。

私はかねてネットを縦横に活用して情報収集し積極的に消費活動をする高齢者を「スマートシニア」と呼んできた。以上のような事実は、シニア層でもネット通販の利便性を理解してその価値を納得すれば、スマートシニアになることを示している。

今後60歳代以上のネット利用者割合が増加すれば、スマートシニアの割合が増え、ネット通販市場も大幅に拡大することが予想される。シニアのネット通販市場はブレーク目前だ。「シニアはネット通販を使わない」というのは過去の話になりつつある。

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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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