シニアの早朝ウオーキング 日光と運動、うつ防ぐ

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日本経済新聞夕刊 2016年3月9日 読み解き現代消費

朝早く目が覚めるのは睡眠ホルモンのメラトニンが少なくなるため

早朝ウオーキングをしている人にはシニアが多い。「朝早く目が覚めるのは年寄りだから」といわれるが、そもそもなぜ、高齢者は朝早く目覚めるのか。早朝覚醒の主な理由は睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が次の理由で少なくなるためだ。

第一は加齢と共にメラトニンの分泌量自体が減っていくこと。脳内で生成するメラトニンは、おおむね夜10時ごろから分泌が増え、午前2時ごろにピークとなり、その後日の出まで徐々に減る。

年齢では5~10歳の頃が最も分泌量が多く、60~70歳ではピーク時の30%程度に減る。夜メラトニンの分泌が少なくなると眠りが浅くなり、目が覚めやすくなる

第二に、退職後にはメラトニンの材料であるセロトニンの分泌が減りやすいことがある。セロトニンは日の出から分泌が増え、その14~16時間後からメラトニンに変わる。

セロトニンは太陽光を浴びると分泌されやすいが、定年後に外出機会が少なくなり、自宅引きこもり気味になると分泌が減る。この結果、夜になってメラトニンの分泌も減る。

このように、加齢に伴う身体機能の変化とライフステージの変化が早く目が覚める原因である。

一見後ろ向きな早朝覚醒を前向きに転じるのが早朝ウオーキング

一見後ろ向きな早朝覚醒だが、これを前向きに転じるのが早朝ウオーキングだ。太陽光を浴びながらのリズミカルな運動がセロトニンの分泌を促すからだ。セロトニンには抑うつ感を軽減する効果もある。老後不安で気分がめいりがちな人にとって重要な物質だ。

セロトニンの分泌を促す別の方法は、その材料であるトリプトファンを取ることだ。トリプトファンは肉、魚、納豆、乳製品などに多く含まれるビタミンB6がトリプトファン生成を促すので併せて取るとよい。

早朝ウオーキングをするシニアには、喫茶店での厚切りトーストより、和定食の方が健康増進効果がありそうだ。

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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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