いかにしてビジネスチャンスを見つけるか?

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高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功の12のヒント 第11回

一般にシニアにとって消費の優先順位の高いものは、「不」の解消のための消費だ。「不」とは、「不安」「不満」「不便」であり、これらを解消させるものに有望なビジネスチャンスが潜んでいる。

現役サラリーマンが退職した後に直面する「不便」の一つは、「毎日行く所がなくなる」ことだ。現役時代は常に職場という居場所があるが、退職するとそれがなくなる。したがって、多くの退職者にとって、新たな居場所探しが重要な作業となる。

アメリカの社会学者、レイ・オルデンバーグが、家庭(第1の場所)でもなく、仕事の場(第2の場所)でもない「第3の場所」が社会的に重要な機能を担っていることを指摘したのをヒントに、私は14年前に「退職者向けの第3の場所」というコンセプトを提案した。これは、会社を辞めて毎日行く所のなくなる退職者のための社会的居場所のことだ。

名古屋からスタートしたコメダ珈琲店は、このアプローチで成功している例である。大人がくつろげる「第3の場所」として人気を集め、全国680店(2016年3月現在)にチェーンを拡大している。

コメダ珈琲店のいいところは、朝7時から開店しており、11時までにモーニングセットを注文すれば、ドリンク代だけで、トースト、ゆで卵が付いてくる。これを目当てに午前中は多くのシニア客が来店する。また、20冊以上の新聞や雑誌が読め、朝食をとりながら割安に生活に役立つ情報が得られるのもミソだ。

さらに、内装が山小屋のような雰囲気で、きちんとボックスに分かれていて、溜まりやすいことだ。そして、壁の部材がすべて木でできているので、しゃべり声が適度に反響して、ワイワイガヤガヤ感があることも重要だ。こうした工夫により、同年代の仲間とゆったりと歓談できる場として人気を集めている。

この例のように、退職など中高年のライフステージの変化に伴い生まれる新たな「不」を解消するものにビジネスチャンスが隠れている。そこに目を向けよう。

成功するシニアビジネスの教科書

高齢者住宅新聞

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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