2004年2月1日 IMプレスVol.93
村田裕之
『アバウトシュミット』という映画を観たことがあるだろうか。ジャック・ニコルソンが主役を演じてアカデミー賞候補となった、アメリカの退職サラリーマンの物語だ。
退職してから毎日が日曜日状態になって、行くところもなく家で時間をもてあまし、娘ともうまくいかず喧嘩してしまう。
これを観ていると「これは、日本の映画にアメリカの俳優が出演して、アメリカで撮影したんじゃないの?」と思わずにはいられない。それくらい、日米のシニアの置かれている境遇は類似しているのだ。
このように話すのは、日本でシニア市場分析の第一人者として活躍している村田アソシエイツの村田裕之代表である。村田氏に、日本より進んでいるアメリカのシニアビジネスの成功事例をご紹介いただくと同時に、日本における成功のカギを伺ってみた。
(中略)
次に日米の相違点を確認しておこう。 共通点はどちらも経済成熟国である、生活水準が高い、サービス産業化が進んでいる、
1ドル=120円で換算すると可処分所得もほとんど同じことなどだ。
人口当たりのインターネット普及率もほぼ同じ6割など情報機器も普及している。
一方、日本と異なる点は、国による社会保障制度が日本に比べ手薄なこと、国土面積が広大で土地が安いこと、人口密集地が少なく、人口分布が地理的に拡散していること、生活習慣病・肥満が桁違いに多く、人口の6割に当たる1億3,000万人も存在すること、フリーエージェント(大企業に属さずに独立して働く人たち)が労働人口の4分の1に当たる3,300万人もいることなどだ。
日本は80年以降急速に高齢化が進んだのに対し、アメリカは80年以前からある程度高齢化率が高く、リタイアメント・コミュニティなどの住宅産業が発達しており、日本より10~15年は進んでいる。
(本文より抜粋)