健康寿命延伸の鍵握るスマート・エイジング

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日本経済新聞12月22日 ビジネス俯瞰図2017

日本経済新聞に「健康寿命延伸の鍵握るスマート・エイジング」と題してスマート・エイジングの考え方についての記事が掲載されました。以下に、その抜粋を掲載します。

スマート・エイジングに注目

健康寿命を延ばすには何が必要か。健康寿命の延伸分野で先駆的な研究を進めている東北大学は「スマート・エイジング」の実践を提唱している。

これまでの老化の概念はネガティブで、「アンチ・エイジング」など加齢にあらがう発想が強かった。これに対しスマート・エイジングは、加齢とは何かを得ることであり、成長を続けることだと捉える。体力の低下など加齢に伴う変化に賢く対処しながら、個人と社会が成熟していくことが大切だとする考え方だ。

そのために必要な生活習慣として、東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターは①認知刺激(脳を使う習慣)②運動(身体を動かす習慣)③栄養(バランスのとれた食事)④社会性(人と積極的に関わる習慣)――を挙げる。

例えば認知刺激は、認知症の予防などにつながる。東北大学の研究で、脳を活性化するには音読、手書き、簡単な計算が有効であることが分かっている。手ごろな脳トレーニングとしては、1日1回、800字程度の文章を大きな声で音読する方法が考えられる。新聞の社説などを活用すれば習慣的に実践できるだろう。

介護状態に陥るきっかけとして多い脳卒中は、生活習慣病が主な原因だ。その予防にはウオーキングなどの有酸素運動が効果的。それに加えて、転倒や骨折を防ぐには下肢や腹筋など体幹部の筋肉を鍛えることが欠かせない。最近は高齢者向けの筋力トレーニングを提供するフィットネスクラブも増えてきた。スクワットなど自宅でできる運動も有効だ。

個人も社会も幸福に

人と積極的に関わる習慣も大切にしたい。高齢者の有業率が高い地域は、老人医療費が少ない傾向がある。生涯現役なら社会とのつながりを保つことができ、生活にも余裕が生まれる。具体的な目標ができることで、生きがいを得ることにもつながるだろう。

こうしたスマート・エイジングの実践により健康寿命を延伸できれば、医療費・介護費などの金銭的負担や、家庭での介護による精神的・肉体的負担を軽減できる。医療制度の持続可能性も高まり、健康寿命の延伸を支援する新規ビジネスの経済効果も期待できる。

世界的にも社会の高齢化は大きな課題だ。一人ひとりがスマート・エイジングを心がけ、個人と社会が幸福に過ごせる超高齢社会のモデルを創出したい。

東北大学におけるスマート・エイジング研究

東北大学は「加齢医学研究所」「スマート・エイジング学際重点研究センター」を中心に、認知症や健康寿命の延伸分野の研究で世界的に注目されている。

「認知症ゼロ社会」の実現を目指し、認知症の発症メカニズムから新たな認知症対策まで様々な角度から研究を実施。その成果を広く社会に還元するため、「スマート・エイジング・カレッジ東京」などの産学連携活動による商品・サービスの開発や、健康寿命延伸ビジネスに携わる人材の育成などにも取り組んでいる。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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