高齢化ニッポンの人を支える仕事

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リクルートアントレ 2011年秋号

超高齢社会に突入し、高齢者支援の市場は拡大の一途

80歳以上の高齢者が増加する割合が大

まず、下のグラフを見てほしい。日本の総人口が減少していく中、65歳以上の高齢者は増え続けると予測されている。とりわけ、80歳以上の高齢者が増加する割合が大きい。つまり、生活の様々な局面で支援を要する人が増えるということ。当然ながら、この成長市場でビジネスを展開しようと考える人も多く、高齢者住宅やデイサービス、配食(弁当宅配)といったビジネスが活況を呈している。

 健康、お金、生きがいが基本ニーズ

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シニアビジネスの特色について、同分野のコンサルティングに携わる村田裕之氏は次のように言う。

「世帯主の年齢別の正味金融資産統計では6070代が平均2000万円以上と最多で、持ち家比率も92%以上と最高です。一方、この年齢層の年間所得は300万円以下。いわば“ストック・リッチ、フロー・プア”で、いざという時の出費は可能だけれども、普段はなるべく倹約するという消費性向を持っています。いくら人数が多くなると言っても、高齢者を対象とするビジネスなら成功すると考えるのは早計。それよりも、高齢者を喜ばせることが自分の喜びにもなり、社会貢献にもなると考える人の方が成功します」

では、ビジネスを失敗させないために、押さえるべき高齢者のニーズとは何か。

「高齢者の関心は、健康、お金、生きがいに集約されます。この3つの基本ニーズを満たす商品・サービスの提供が必要条件です」

以降、分野別に動向や注意点を解説する。

独居老人の増加で成長中のマーケット「安否確認機能」への期待も大

立地を問わず低投資で開業できる配食サービス

一人暮らしの高齢者が増加している(下図参照)。こうした層に対する「サービス付き高齢者住宅」や周辺サービスの市場拡大が期待されているのは先述のとおりだ。

一人暮らしでなくとも、外出がままならない高齢者に食事を届ける配食サービスにも注目が集まっている。最近は、居酒屋チェーンおよび介護事業を手がけるワタミグループも参入している。

「ワタミは直営ですが、FCの配食サービスは立地を問わず、自宅を改造するだけの低い初期投資でも開業できるので、加盟者が増えています。安否確認機能も期待されているので、今後まだ伸びると思います」と民谷氏は言う。

単品型ではなく“連結連鎖型ビジネス”に

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それだけに、競合も増えそうだ。

「より高級な弁当を食べたい人は百貨店に注文しますし、最近はコンビニが宅配を始めています」

村田氏は次のように言う。

「弁当だけを単品で売るのではなく、例えばペットショップと提携してペット用品を届けるなど、販売チャネルを生かして高齢者ニーズに応える連結連鎖型ビジネスにしていくべきです」

65歳以上の高齢者が21%以上を占める「超高齢社会」に突入している日本では、商品・サービスの提供場所が店頭から住宅に移行するパラダイムシフトが起きているというのだ。「囲い込むのではなく、“出張駆け込み寺”になることが大切。FCを選ぶ際はどんな事業戦略を描いているか要チェック」と村田氏は指摘する。

筋トレで“介護予防”フィットネスクラブが人気

“介護予防”の観点からも、フィットネスクラブが人気を集めている。村田氏は次のように言う。

「筋肉は、鍛えなければ70代では20代の半分になります。すると、転びやすくなり、要介護の確率が高まる。80歳過ぎても、筋トレを行えば筋肉は付きます。私が日本に紹介したアメリカ発祥の女性専用のフィットネスクラブは、今年7月現在日本に1,034店舗あり、60代中心に37万人の会員を集めています。FCを展開しており、最近では脱サラしたオーナーも増えていますよ」

また、シニア向けのカフェも、居場所を求める高齢者たちの人気を集めている。ただし、回転率は低いので、関連商品の販売などで客単価を上げる必要はあろう。

高齢になると外出機会が減り、心身の健康を損ないやすくなる。病気や認知症を防ぎ、いつまでも元気でいられるサービスへのニーズは高い。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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