経済界 9月20日号 特集
モテる企業のモノには「志」や「魂」がこもっている
他人から「モテ」たいというのは、人間の根源的な欲求である。しかし、「会社経営はモテる、モテないというような軽いものではない」という方もいるだろう。要は周囲から認められ、支持されたいということである。
戦後期、高度成長期、バブル経済期と日本経済は目覚しい発展を遂げてきた。だが、バブル崩壊以降、ビジネスのあり方は一変。冷え込んだ消費に対応すべく、企業はさらに売れる商品・サービスを提供するため、生活者の視点を重視するようになった。
その結果、市場にはあまり差がない商品・サービスがあふれるようになってしまった。消費者にとって欲しいものがない、企業も売れるモノを生み出すにはどうしたらいいか分からないという状況が生まれている。
健康、お金、生きがいが求められている
生活者の視点での中高年向け事業企画・事業化支援、マーケティング支援を行う村田アソシエイツ社長の村田裕之氏は、これからの“モテ企業”を次のように分析する。
「私がシニアビジネスの分野に取り組み始めた1999年ごろは、市場にあるものの大半は介護ビジネス関連でした。それから10年以上経ち、多くの企業が介護市場以外の元気な団塊・シニア市場に目を向けるようになりました。
大きく分けてその分野は健康、お金、生きがいづくり。体と脳をボケさせないための健康づくりとして私が関わっているのが、フィットネスクラブの『カーブスジャパン』(詳細は23ページ参照)と『くもん学習療法センター』が行っている脳の活性化プログラム。各地の高齢者施設などで展開しています。
お金の分野は、日本の金利ベースで展開しているところはどこもほとんど差別化できません。従って海外の金融機関やファンドと組んで、例えばREITなどを組み合わせたものがいいですね。3番目の生きがいづくりは、実はこれからものすごく求められている。生きがいを作るとか、小遣い稼ぎや雇用に結び付くものに注目です」
例えば徳島県上勝町の「いろどり」が行うおばあちゃんの葉っぱビジネス、長野県の小川の庄の「縄文おやき」などは著名だ。
「これらは生きがいづくりであり、仕事の場を提供するものですが、お金以上に大事なのは、自分の得意分野で人の役に立つこと、社会との関係性も維持できるというところにある」と村田氏は指摘する。