ばらまくなら「現金」ではなく、副収入の「機会」を

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週刊現代4月16日号

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そもそも「現金ばらまき」は景気刺激策にならない

週刊現代の特集記事「岸田総理、高齢者給付は5万円が正しいと思います」に私への取材を基にしたコメントが掲載されました。

最近、政府が提案した年金受給者へ5,000円給付する案が多くの批判を浴びて撤回されました。記事の趣旨は、アメリカでの類似政策の給付金額に比べて5,000円ではみみっち過ぎる、5万円にしろ、という内容です。

取材時にまず私がお話ししたのは、仮に5万円給付してもお金をもらった人の半分以上は先行き不透明なこの時世では使わずに「貯金に回す」ため景気刺激策にならない、という点です。

政治家は選挙が近くなるとこうした税金を使ったバラマキをやりたがりますが、これほど無駄な策はありません。これで国民の人気取りができるほど国民はアホではありません。

シニアは副収入が可処分所得になる

次に、ばらまくのは「現金」ではなく「機会」だとお話しました。ここで機会とは、年金受給者の就業機会、副収入を得るためのスキルアップ機会などです。

私は拙著「成功するシニアビジネスの教科書」の第8章で次の通り「シニアは副収入が可処分所得になる」と述べています。— 資産は多くとも所得の少ないシニアは、日常生活における出費は月の所得、つまり、多くの人が年金収入の額にほぼ比例するのです。平均的にはあまり高額でない年金収入のなかでやりくりしているため、どうしても日々の出費は倹約気味になっています。そこで、年金以外の副収入を得る機会を提供すれば、可処分所得が増えるので消費が促されます。

ばらまくなら「現金」ではなく、副収入の「機会」を

政府がやるべきことは、年休受給者一人あたりに5万円ばらまくのではなく、例えば年金以外の副収入を得る機会づくりをする企業に、該当者一人あたり5万円支援するのです。

単に個人に5万円ばらまくなら、生活費の一部や旅行代金に消えて終わります。しかし、その5万円がきっかけでIT機器のスキルが上がったり、資格取得につながったりすれば、副収入機会が広がります。

政治家は私たちの血税を自分たちの選挙対策に使わないでほしい。もっと投資効果のレバレッジが大きくかかる政策を考えてほしいものです。

コロナ後の日本経済「V字回復の秘策」は、じつは「アクティブシニア市場」にあった…!

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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