半歩先のビジネスにヒント:電通シニア大航海学会

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2003年10月6日 電通報

米国成功事例を紹介

電通は九月十九日、第十回「シニア大航海学会」を、東京・汐留の電通ホールで開いた。

二つの講演に続き、村田アソシエイツの村田裕之代表が、「半歩先のシニアビジネスーアメリカの先進事例から読む日本でのビジネス展開のヒント」をテーマに講演。シニアビジネスで先を行く米国の成功事例を紹介しながら、日本でのシニアビジネス展開に必要な具体的なヒントの数々を提示した。

シニア向けビジネスに詳しい村田氏は、まず、「今日の話は、日本の近未来市場を映す鏡だ。シニアビジネスを立ち上げる、先回り戦略にしてほしい」と切り出した。 

次に、何がシニアの消費行動に影響を及ぼすかに言及し、①加齢による肉体の変化②本人のライフステージの変化③家族のライフステージの変化④世代特有の噂好性④時代性・流行が、その要因になると指摘。これらの視点から、米国のシニア向けサービスの先進事例を、六分野にわたって詳細に解説した。

「フィットネス・ウエルネス」分野では、中高年女性に優しい女性専用フィットネスクラブとして市場を創出した「カーブス」、「住宅・住居周り」では、修繕・整備出張サービスで拡大を続ける「ミスターハンディマン」、「有機食品」では、世界最大のオーガニックスーパーに成長した「ホール・フーズ・マーケット」などを取り上げ、サービスのポイント、支持される理由、どこにビジネスチャンスがあるのかといった切り口から分析してみせた。 

また、住宅分野の大きなトレンドとして、ボストン郊外の大学内で学住近接型サービスを展開する「ラッセル・ビレッジ」を紹介。「日本で急増している介護付き有料老人ホームの建設は、米国でも十五~二十年前に起きたが大半がつぶれている。大切なのは箱物ではなく、コミュニケーションやホスピタリティーだ」と述べた。

さらに、「ビレッジの盛況は、年に四百五十時間以上の講義を受けながら、若い学生と共に活動する・交流・があるから。日本でも、運営ソフトとマネジメント刀を備えたところが勝者になる」と明言した。 

最後に、これらの成功例には、確固たるビジネスヒントが限れているとして、①飽和市場の周辺をよく探す②顧客とフランチャイジーの両者に利益を与えるモデルをつくる③ローテクを活用する④小資本、未経験者でも可能なビジネスモデルにする⑤商品そのものよりも「体験」を売る⑥知的な学習、交流の「機会」を売る、の六項目を強調。「先回りの戦略をつくり出し、一歩踏み出す実行力こそが成功をつくる」とまとめた。

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