リタイア・モラトリアムが促す解放型消費の行方

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2008年2月号 りそなーれ 特集 団塊消費の虚実を探る

団塊消費を取り込む商品・サービスをつくるにはどうすればよいか。必要なことは二つある。第1に、団塊世代が置かれている心理的・社会的変化に対する理解。第2に、こうした環境におけるライフスタイル変化に対する洞察である。

(中略)

こうした商品・サービスを考える際、リタイア・モラトリアムの当事者にとってのメリットに目を向ける必要がある。それは当事者が定年退職後にパートタイム勤務を選択すると、①平日の自由時間が飛躍的に多くなるにもかかわらず、②可処分所得水準がそれほど変わらず、③会社の看板・信用・ネットワークを活用して働き続けられることだ。これらのメリットが解放型消費を促す要因になることにも留意したい。

(中略)

会社時代は「会社の使命(コーポレート・ミッション)」があり、社員はその達成を拠り所に社業にいそしんだ。しかし、生活の中心が、会社から個人になるにつれ、こうした拠り所がなくなる。「会社の使命」という思い足かせから解放され、自由気ままに過ごせるという人も多いだろう。

一方で、解放段階にあるリタイア・モラトリアムの人は、会社中心生活から解放される反面、体力の衰えで、後半生でやれることに限りがあると感じるため、「いまやるしかない」という気持ちが強くなる。

この結果、「自分のやりたいこと・やるべきこと(パーソナル・ミッション)」の実現に最も高い価値を置くようになる。ということは、他のことには出費を惜しんでも、自分のやりたいことの実現のためには、それなりの出費はするということである。

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