2005年4月1日 福邦銀行「福邦メディア春号」 巻頭特集
どの企業でも、必ず新分野・新商品開発に取り組まなければならない。たとえ、現時点で既存の収益部門が好調だとしても。その最大の理由は、数十年前と異なり、現代が経済成熟の時代だからだ。
経済が成熟するとモノ余りが進展し、消費者にとっての選択肢が拡大する。すると、消費者はどんどん賢くなり、ますます目が肥え、よりレベルの高いものを要求するようになる。
このため、より付加価値の高い商品・サービスを提供し続けなければ、顧客は離れていく。昔は、系列関係や長年の取引年数だけで顧客との関係を維持できた。だが、現代は、顧客にとっていろいろな意味での利益を提供してくれる企業だけが、継続的な取引先となる時代だ。
また、単一の商品・サービス分野だけに長く取り組んでいると、社内が沈滞化してくる。ルーチンワークの管理業務的なことが事業の中心になると、顧客のニーズに応えて品質を向上しようとか、もっとサービス方法を工夫しようという意識が希薄になる。すると、何か新しいことに挑戦したい若手社員を中心に不満が溜まり、モチベーションが下がる。そして、有能な社員がその会社を辞めていく事態もしばしば起こる。
だから、どんな企業でも、必ず新分野・新製品開発に取り組まなければならない。
(中略)
以上をまとめると、①新規分野への進出を効率的に達成するには、当該分野を「本業の付録」的な位置づけにせず、既存の収益部門と同等の優先順位とすること。②社内の実力者に新規分野の担当責任者として正面から参画してもらうこと。③経営トップは、最終責任が自分にあることをコミットし、担当責任者を権限的にも予算的に支援すること。
以上を実行のうえ、今年シニアマーケットに進出するなら、必ず新しいビジネスチャンスをつかめるはずだ。
(本文より抜粋)