今日からの有酸素運動で要介護にならないカラダに!

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ノジュール3月号連載 今日から始めるスマート・エイジングのススメ第6回

要介護・寝たきり状態は身近な話題

読者の皆さんには親御さんが要介護状態の方も多いのではないでしょうか?

私の母は93歳、10年前に脳梗塞で倒れ、発見が遅れたため右足に麻痺と痛みが残り、今も麻痺が残っています。

数年前に自力で歩けなくなり、在宅での介護が難しくなったため、特別養護老人ホームに入所してもらいました。

入所後、要介護度は徐々に悪化し、現在要介護4です。自力で歩けなくなってから認知症も進みました。

こうした具体的な事例を自分の身近に見ていると、自分の意思で活動的に生活できるには、要介護・寝た切り状態にならないことだと心底感じます。

要介護になる原因の上位は「認知症」と「脳卒中」

厚生労働省によれば、要介護状態になる原因の第一位が「認知症」です。その次が「脳血管疾患」、つまり脳卒中です(図)。

ただし、認知症の原因疾患の約3割は脳卒中ですので、脳卒中が要介護状態になる原因の最上位と言っていいでしょう。脳卒中には主に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。

続いて原因の3番目が「高齢による衰弱」、4番目が「骨折・転倒」、5番目が「関節疾患」です。

「高齢による衰弱」の多くは「サルコペニア」と呼ばれる状態で、これは主に低栄養が原因で筋肉が衰える状態です。

関節疾患は「運動器症候群(ロコモティブシンドローム)」とも呼ばれています。運動器とは、体の運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。加齢に伴い、こうした運動器に不具合が出てきます。また、骨折・転倒の多くは運動器障害の結果起こります。

ここまでで明らかなように、要介護状態になる原因の多くは、脳と運動器に関わるものです。ということは、これらを健康に維持できれば、多くの場合で要介護状態にならずに過ごせるということになります(脳トレによる脳機能の維持・改善は連載第1回で触れました)。

要介護状態になると大変なのはその期間が長いことです。厚生労働省によれば、要介護状態になる期間が3年以上の人が6割、5年以上が4割、10年以上が2割います。

私の母も既に要介護10年を過ぎました。私の友人には親の介護を15年以上経験した人が何人もいますし、多くの場合介護をするのは家族というのが現状です。

有酸素運動は生活習慣病改善・予防の第一歩

さて、脳卒中の主な原因は「生活習慣病」です。糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が発症原因に深く関与している病気の総称で、ここでいう生活習慣とは、運動習慣、食事習慣、飲酒習慣、喫煙習慣などを主に指しています。

生活習慣病は、運動不足や、偏った食事、過度の飲酒・飲食、喫煙、ストレスなどの日々の生活におけるマイナスの習慣が原因です。したがって、こうした生活習慣を改めないと改善・予防にはつながりません。

そこでまずお勧めしたいのは「有酸素運動」です。代表的なのは体中に酸素を取り込んで負荷の軽い運動をゆっくりと時間をかけて行うやり方です。これにより体内の脂肪を燃焼することが糖尿病や脂質異常症の改善・予防に有効なのです。

有酸素運動には認知症予防効果も!

そして有酸素運動は、認知症予防に効果があることが現時点で医学的に証明されています。

加えて、有酸素運動を行うとBDNF(脳由来神経栄養因子)というたんぱく質が分泌され、これが脳の神経細胞や神経線維を新たに発生させたり、成長を促したりすることもわかってきました。

つまり、脳トレと同じように、有酸素運動も脳機能を高める有効な手段なのです。

最も手軽な有酸素運動はウォーキングです。一日30分で十分です。お勧めは1月号で触れた通り、起床後の朝行うことです。起床後に太陽の光を浴びてリズミカルに歩くことが脳内でセロトニンの分泌を増やすからです。

これが難しい場合は、毎日の通勤過程に組み込むのも手です。最寄り駅まで歩く、いつも降りる駅の一つ前の駅で降りて会社まで歩くなど、日常生活のなかに組み込むのが長続きのコツです。

その際、心拍数に気を配ってみましょう。年齢によっても異なりますが、例えば50代の方の場合なら、心拍数が120~130程度のときに脂肪が一番燃えやすいとされています。

心拍数は腕時計型のウェアラブル端末で計測でき、消費カロリー数なども表示されるのでお勧めです。

スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣

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