その脳トレ 効きますか?シニア消費「質」でつかむ

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2019年4月19日 日経MJ連載 なるほどスマート・エイジング

シニア消費「質」でつかむ

本日より日経MJ シニアBIZで新連載「なるほどスマート・エイジング」が始まりました。
カラー7段抜きの大きな記事で結構目立ちます。

連載第1回のテーマは「その脳トレ 効きますか?」。実はこれはデスクがつけたものですが、ズバリ言い当てていてさすがです。

健康増進効果をうたった商品・サービスが市場に急増しています。背景には「超々高齢社会」になったことと、「人生100年時代」という見方が市場に浸透したことで、消費者の健康志向がますます強まっていることがあります。

とりわけ認知症予防に対するニーズの高まりから「〇〇脳トレ」「XX認知症予防プログラム」といった類のサービスが増えています。

しかし、こうした商品・サービスには本当に有効なものが少ないのが現状です。この理由は、効果検証が不十分にも関わらず商品化しているものが多いことに加え、商品提供者自身に効果検証に関する理解が浅いことです。

米国ではLumosityという脳トレプログラムに効果が見られないために監視当局である米連邦取引委員会が200万ドル(約2億2千万円)の罰金を命じました。

これは米国での例ですが、日本でもこれからはきちんとした効果のエビデンスなしに、その商品が「健康によい」などとは言えなくなるでしょう。今後は当局による罰則リスクが大きくなる可能性があります。

しかし、それ以上に重要なのは、商品に対するシニア消費者の商品を見定める目がますます肥えている事実です。

消費者自体がこうしたエビデンスの有無やその信ぴょう性をさらに求めるようになります。これが20年前に私が予言した高齢者が「スマート・シニア(情報武装した賢い高齢者)」になっていくことの具体的な姿です。

人生の後半期には「健康不安」「経済不安」「孤独不安」の3K不安が強くなります。経済不安になる理由は、病気になって入院し、重篤な病気で治療が長引けばお金がかかるから。孤独不安は、健康を害し外出しづらくなるとほかの人とのコミュニケーションが減るから生じます。

したがって、人生の後半期には3K不安を解消しようとする「スマート・エイジング」、歳を重ねることによる体と心の変化に賢く対処し、知的に成熟する生き方にシフトしていきます。

私たち東北大学では、これまでの医学、心理学、社会学などの知見を統合して、スマート・エイジング実現のためには「運動」「認知」「栄養」「社会性」の4つの条件が満たされる必要があると結論づけました。

情報武装したスマート・シニアは、「スマート・エイジング」の4条件を満足するための商品・サービスを求めています。

したがって、商品提供側がスマート・エイジングを正しく理解していなければ、消費のチャンスをつかめません。

逆に言えば、それができる企業が超々高齢社会、人生100年時代のシニア消費をつかむことができます。

そのためには、スマート・シニアが求めるこの4条件を「意図的に」商品・サービスに組み込むことが重要です。

スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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