解脱11月号 連載 スマート・エイジングのすすめ 第23回
厚労省の国民生活基礎調査(2013年)によれば、要介護状態になるきっかけの第一位は「脳卒中」、第二位「認知症」、第三位「高齢による衰弱」、第四位「転倒・骨折」、第五位「関節障害」です。
第四位「転倒・骨折」の大きな原因は加齢による「下半身の筋力低下」です。また「高齢による衰弱」は最近フレイルなどと呼ばれ、これも運動不足による筋肉の衰えであることが分かっています。
筋肉量の低下は30~40代から徐々に始まり、20代を100とすると、60代では約60パーセントに、70代では約50にまで減少してしまいます。また、上半身と下半身での筋肉量の低下割合を比較すると、下半身は上半身より1.5から2倍近くも低下します。
体幹部や下肢の筋力が弱ると、歩行時に地面からのつま先の高さが下がって、ちょっとした段差や小石などにつまずきやすくなります。こうした「つまずき」がきっかけで転倒・骨折すると、そのまま寝たきりになってしまう可能性が大きいです。したがって、「筋力トレーニング」によって下半身の筋力を維持・強化することが転倒・骨折の予防になります。
ところが、高齢者に「筋力トレーニングをした方がよい」と言うと、「高齢だからもう無理」と言って、あきらめてしまう人が多いようです。しかし、(株)カーブスジャパンが運営する「カーブス」は、女性専用ですが、高齢者でも継続して取り組みやすい筋力トレーニングプログラムとして人気を呼んでいます。
このカーブスは、アメリカで開発され、世界60か国でのべ430万人以上が利用している世界最大の女性専用フィットネス・チェーンです。2003年に、私が日本で初めて紹介し、2005年7月に一号店をオープンして以来、全国に1,726店舗(2016年9月現在)、会員数は72万人を超える日本一のチェーンに成長しました。
カーブスが、高齢者でも継続して取り組みやすいのには、いくつかの理由があります。第一に、一人ひとりの体力に合わせて無理なく運動できる点。ウェイトを使わない油圧式器具を使うため、力の強い人には負荷が強くかかり、力の弱い人には負荷が弱くかかるようになっています。このため、力の弱い高齢女性でも適度な負荷で無理なく運動ができるのです。
第二に、一日わずか30分で効果が出る点。カーブスでは、10から12種類の異なる器具とボードが交互に環状に並べてあり、上半身運動→有酸素運動→下半身運動→有酸素運動を30秒ずつ交互に行なうようになっています。
このシステムにより、通常のスポーツジムで90分運動するのと同等の効果を30分で得られるようになっています。この30分という短い時間でも、週二、三回続ければ、筋トレ効果が出てくるので、利用者は継続して取り組む気になるのです。
第三に、通いやすい点。一般の大型フィットネスジムと異なり、カーブスは住宅地のそばや商店街のそばにあることが多いので、買い物ついでにちょっと寄る、ということができます。
そして、何と言っても、仲間ができやすく楽しいことです。カーブスに来る人は、皆健康になりたい、筋力をアップしたい、やせたい、など健康意識が高く、共通の目的を持った人たちです。
このため、話題が共通で話しやすく、話し相手ができやすいのも高齢者にはうれしいのです。あなたの親を要介護状態にさせないために、ぜひ、こうした最寄りの筋力トレーニング実施場所に足を運んでもらってください。