ノジュール1月号連載 50歳から輝く暮らしのヒント 今日から始めるスマート・エイジングのススメ第4回
JTBパブリッシングの月刊誌「ノジュール」1月号連載「50歳から輝く暮らしのヒント 今日から始めるスマート・エイジングのススメ」、第4回のテーマは「プチ落ち込み&イライラは、リズミカル生活で解消!」
本連載では、拙著「スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣」をもとに、主に50代・60代の方向けにわかりやすい解説を心がけます。
精神を安定させるセロトニンとは?
中年期以降の方は会社勤めなら管理職として忙しい場合が多いでしょう。上司からの要求、顧客からのクレーム処理、部下のマネジメントなど責任も重いです。
一方、家庭でも親の介護、子供の進学・就職、配偶者との関係など、精神的な負荷も多く、心労も重なります。
こうした不安感をなくし、精神を安定させ、脳内に負の記憶、マイナスのイメージが過剰に形成されるのを抑制するのが脳内に分泌される神経伝達物質「セロトニン」です。
これは「調節系」の神経伝達物質の一つで、ドーパミンやノルアドレナリンといった興奮性の神経伝達物質の活動を調節する役割があります。
セロトニンはなぜ重要なのか
セロトニンが重要なのは、朝になると目が覚め、夜になると眠るという「生体リズム」に関わっていることです。
セロトニン神経系は脳の視床下部という部位にセロトニンを放出して、睡眠と覚醒に関わっています。そのためセロトニン神経系の活性度が低下すると、視床下部に信号が行きにくくなり、寝起きが悪くなるなど睡眠障害の原因になります。
また、セロトニンは前号で触れた睡眠ホルモン、メラトニンの原料になっています。そのためセロトニンが不足するとメラトニンも不足して眠りが浅くなり、それも睡眠障害の原因になります。
さらに、セロトニン活性が低下すると不安感が強くなり、うつ病の原因になります。これが極端にひどくなると、強迫性障害や、激しい不安と発作を起こすパニック障害などにもなります。
今日からできる脳内のセロトニンの増やし方
日常生活においてセロトニン神経を活性化させる方法は、1つは太陽の光を浴びること、2つ目にはリズム運動をすることです。
太陽の光を浴びるとは、具体的には朝、照度2500ルクス以上の光を5分以上浴びることです。この光刺激が網膜から脳幹の縫線核という部位に伝わると、セロトニンの生合成が始まります。これにより、脳全体にわたるセロトニン神経系を通じて脳が〝覚醒状態〟になります。
朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。天気が悪くても外に出て太陽の光を浴びることが重要です。
リズム運動とは、「イチ、ニ、イチ、ニ」とリズミカルに運動をすることです。例としては、ウォーキング、よく噛んで食べること、ヨガや太極拳などの吐き出す呼吸があげられます。
太陽の光を浴びながらリズム運動を併せて行うのに最も手軽な方法は、日の出時刻の30分後に起床して、まだ静かなうちに外に出て、リズムよく30分ほどウォーキングすることです。
日の出直後はまだ暗いですが、日の出30分後には十分に太陽の光を浴びることができます。そしてウォーキングが終わったら、朝食をよく噛んで食べることです。
私も朝はよく外を歩いていますが、夏は朝5時ごろから多くの人々が散歩しているのを見かけます。
散歩の際に気をつけたいことは、リズミカルに歩くことです。ダラダラ歩いたり、犬を連れて犬のペースで散歩したりするのは効果が下がります。
また、サンダル履きではなく、運動靴やスニーカーを履いてリズムを刻んでテンポよく歩くのがよいのです。
朝シャワーで全身を活動モードへ
私は長年、朝のシャワーを習慣にしています。朝にシャワーを浴びるとセロトニン活性が上がるかどうかは不明ですが、全身が活動モードに切り替わるのを私自身が実感しています。
この理由はシャワーを浴びることで体温が上がるからです。寝ている間は体温が下がっていて、起床して体温が上がると臓器が動き出して体内のエンジンがかかり、ますます体温が上がります。
私にとってのシャワーは活動モードへのスイッチになっています。自律神経の面から見ると、寝ている間はリラックスの神経である副交感神経優位ですが、起床すると活動の神経である交感神経が優位になります。そのスイッチを入れるのに、朝に熱いシャワーを浴びることが効果を上げています。
是非明日から、朝起きて太陽の光を浴びながら、リズミカルに30分歩いてみてください。その後シャワーを浴び、よく噛んで朝食をとる。この一連の流れが日常生活のなかで脳内にセロトニンを増やす方法です。
スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣
秘訣その6 リズミカルに活動する