2019年3月27日 日経MJ 学ぶ・磨く
店頭・接客で「なるほど」を
日経MJ(マーケティング・ジャーナル)に私へのインタビューを基にした8段抜き!の大きな記事が掲載されました。私がお話したことを小売り・流通業の方向けにかみ砕いて、わかりやすく解説しているところが感心します。
例えば、「スマートシニア」という言葉は、20年前の99年に初めて提唱したもの。当時の定義は「ネットを縦横に活用して情報収集し、積極的な消費行動を取る先進的な高齢者」でした。しかし、今回の記事では「健康志向が強く、インターネットを使いこなして情報を収集する知的な“スマートシニア”」という言い方をしています。
20年前の定義には「健康志向が強く」というのはなかったのですが、時代の変化がスマートシニアの質も変化させていると言えます。
また、2006年に提唱した「スマート・エイジング」の定義は「エイジングによる経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟すること」ですが、今回の記事では「すこやかに晩年まで過ごす」。
少しあっさりし過ぎの感もありますが、スマート・エイジングの究極のゴールが「平均寿命ほぼイコール健康寿命」ですので、的外れではありません。
効果をエビデンスで示せ
スマート・エイジングの4つの必要条件も1)運動 衰えは下半身から。下半身を鍛える、2)認知 ボケないために脳トレ、3)栄養 バランスのとれた食生活、4)社会性 人と関わる機会や習慣、と要点をついた記述。
そして、「賢いスマートシニアをつかむには?」の説明では、1)「健康にいい」「トクホ」「機能性食品」というだけでは納得しない、2)「薬事法を理由に説明できない」は言い訳でしかない、3)小売店の店頭では「エビデンス」を示せ、4)できなければ、詳細な説明ができるネットに客を奪われる、とあるのは小売り流通業をターゲットとした日経MJならではの整理。
「小売店の販売員は知識をもって接客する必要がある」と最後にある文章は、小売業だけでなく、自社の製品・サービスを「健康にいい」と訴求したい全ての業種・業態に言えることです。
スマートシニアの増加はより健康志向が強く、情報武装したシニアが増加するということ。
商品・サービス提供者は、「健康にいい」とは、どういう観点でどういいのかをきちんと説明できないと、消費者にそっぽを向かれることになります。
これを避けるには、最新の研究成果に基づく加齢科学を体系的にその道の専門家から学ぶことが有用です。