著書概要:リタイア・モラトリアム

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2007年11月号 トップポイント

団塊世代の定年退職に伴って生じるとされた「2007年問題」は、結局、大した問題にならなかった。というのも、多くの人は完全にはリタイアしない「リタイア・モラトリアム」の状態にあるからだ。本書では、この猶予期間がライフスタイルに及ぼす変化、そしてシニアビジネスの行方を読み解く。

●定年退職後、本当の離職までの期間を「リタイア・モラトリアム」という。

●リタイア・モラトリアムに突入する時期は、心理的発達段階における「解放段階」と合致する。この解放段階では、「今やるしかない」という気持ちを伴った行動がよく見られ、 新しい挑戦を行うことも多い。

●リタイア・モラトリアムは、潜在的な自己解放力を表出する契機となる。この自己解放力の表出により、「解放型ライフスタイル」と呼ばれるライフスタイルがもたらされる。

●解放型ライフスタイルにおいては「解放型消費」が生じる。  この消費は、次のように3段階に変化する。①時間解放消費 → ②自分探し消費 → ③パーソナル・ミッション消費

●リタイア・モラトリアムを体験した人々は、従来のリタイア生活ではなく、もっと積極的に生きる「脱・リタイア」生活を指向すると思われる。

●脱・リタイア生活の具体例としては、米国の場合、次のようなものがある。
・HOHO:夫婦それぞれが、家庭にオフィスを持ち収入を得ながら、余暇も楽しむ生活スタイル
・カレッジリンク型シニア住宅:大学の敷地内などに建てられたシニア住宅で、皆が「知縁」で結ばれるコミュニティ

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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