2008年9月28日 フジサンケイ ビジネスアイ iプロの納得アドバイス
欧米で人気の「ホーム・エクスチェンジ」とは
欧米には希望の休暇期間と行き先が一致した人どうしが互いの家を交換しあう「ホーム・エクスチェンジ」というサービスがある。
旅行する際に、自分の滞在予定地に住んでいる人が、同じ日程で自分の居住地への旅行を計画していることで成立する。06年に公開されて大ヒットしたキャメロン・ディアス主演の映画『ホリデイ』は、ホーム・エクスチェンジを題材にした映画である。
利用者のメリットは二つ。第一に、旅行にかかる費用を節約できること。実際、利用者の29%が500ドルから1000ドル、36%が1000ドルから2000ドル、32%が2000ドル以上もの節約ができたと報告している例もある。
第二に、ホテルでの宿泊では体験できない外国の日常生活を体験できること。旅行代理店の添乗員が絶対に知らない地元のお店など穴場の情報を知ることができる。
こうしたメリットから、ホーム・エクスチェンジは、欧米ではかなり浸透しており、利用者は数万人から数十万人に及ぶといわれている。
ギブ・アンド・テイクで信用を担保する仕組み
メリットがあることは確かにわかる一方で「どこの誰だかわからない人に自分の家を貸して大丈夫なのか?」という疑問も浮かぶ。
これに対して、代表的なサービス提供者であるHomeExchange.comは、次のとおり報告している。
「サービス開始から14年間で延べ1万件以上の交換が行われましたが、家の備品の盗難や悪質な破壊などは一度も報告されていません」
「ネットを使ったデート仲介サービスでは知り合った人に実際に会う前に、何度もメールや電話で情報交換し、最近の写真も交換して互いに納得してから会います。こうして実際に会うまでに互いに『どこの誰だかわからない人』ではなくなっているはず。」
「ホーム・エクスチェンジも同じです。家を交換する前に情報交換を十分に行うことが、そうしたトラブルが起きないための秘訣なのです」
このシステムでは一方的に自分の家を相手に貸すだけではなく、相手も自分に家を貸す。自分の家を大事に使って欲しいため、相手の家も大事に使おうという気持ちが自然に強まる。この構造自体が、盗難などのトラブルが起きにくい理由といえる。
それでも心配な人に対して、HomeExchange.comは盗難保険などの斡旋も行っている。また、宝石など本当に盗まれたら困るものは家の交換期間に別の場所に保管することを勧めている。
旅行代理店によるできあいのパック旅行に飽きた人は、海外長期滞在を安くあげるのみならず、有意義な異文化体験の方法として一度試してみたらいかがだろうか。