スマートシニア・ビジネスレビュー 2013年10月24日 Vol.196
東北大学とカーブスジャパンとの産学連携研究の成果発表
昨日、私の所属する東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センターと株式会社カーブスジャパンとの産学連携研究の成果発表がありました。
高齢者64人を対象に無作為比較対照試験を行った結果、4週間のサーキット運動トレーニングが、実行機能、エピソード記憶、処理速度など広範囲な認知機能を改善することが明らかになりました。(無作為比較対照試験とは、医療分野で用いられる根拠の質の高い研究手法です。)
サーキット運動トレーニングとは、運動する複数の人たちで輪(サーキット)になって、有酸素運動トレーニングと筋力トレーニングとを交互に組み合わせて行うものです。もともとは米国のカーブスで考案され、この方式が世界標準となっています。
従来サーキット運動トレーニングにより、筋力向上や生活習慣病の改善、ロコモティブシンドロームの予防などの効果が得られることが分かっています。
しかし、こうした運動トレーニングが、脳機能(認知機能)を改善する効果については、あまり明らかになっていませんでした。今回の研究は、その不明点を解明するために行われたものです。
高齢者の認知症予防や認知機能リハビリなどへの応用が期待
今回の研究成果の最大の意義は、高齢者でもわずか4週間のサーキット運動トレーニングで広範囲な認知機能が改善することが科学的に明らかにされたことです。 サーキット運動トレーニングは、一回30分という短時間でできることから高齢者でも取り組みやすく、継続しやすいのが優位点です。
わが国では、団塊世代が65歳を超えるなど、人口動態のシニアシフトの進展で、今後急速に高齢者の増加が見込まれます。今回の研究成果により、こうした急増する高齢者の認知症予防や認知機能リハビリなどへの応用が期待されます。
なお、4週間という短期間でも広範囲な認知機能が改善することを見出した点、および高齢者を対象とした無作為比較対照試験である点から、従来にない画期的な研究成果と評価され、老年医療研究の権威である米国エイジング協会発行の専門誌AGEに採択されました。論文は2014年2月頃に発行予定です。