なぜ、スマート・エイジング・カレッジは受講生を高齢者だけにしないのか?

スマート・エイジング国際共同研究センター1階ロビーのパネル スマート・エイジング
スマート・エイジング国際共同研究センター1階ロビーのパネル

受講生の50%60歳以上 残りの50%50代、40代、30代が同じ割合

東北大学が主催するスマート・エイジング・カレッジは、419日に第2年度が開講しました。今年度では早くも第2回目の講義での登壇となります。

スマート・エイジング・カレッジの受講生は定員100名。昨年度は公募で350名の応募があり、書類選考で100名が選抜されました。受講生の50%60歳以上の方。残りの50%50代、40代、30代がそれぞれ同じ割合ずつとなっています。これに加えて20代の研究生、大学院生も参加します。

こうした年齢配分にした最大の理由は「高齢者だけのカレッジにしない」ためです。

エイジングというと、依然「高齢者」や「高齢化」のイメージをお持ちの方が多いようです。しかし、エイジングとは受精した瞬間から亡くなるまでのプロセスのことです。

学ぶという行為に年齢は関係ない

私たちの提唱するスマート・エイジングというコンセプトは、「エイジングによる経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟すること」です。つまり、齢を加えるごとに人間として成長し続ける、という意味です。

したがって、スマート・エイジングには高齢者に特化した意味はありません。なぜなら、学ぶという行為に年齢は関係ないからです。したがって、40歳で参加した人も、77歳で参加した人も学ぼうとする意欲さえあれば、人間として成長することができます。

実際、昨年度の私のゼミに参加した最高齢の方は77歳の男性でしたが、毎回積極的に討議に参加され、回を追うごとに問題意識が高まっていく様子を目の当たりにしました。

豊かな高齢社会とは、異なる世代が互いに仲良く協調し、双方の世代の関係性が豊かになっていく社会

さらに言えば、こうした学びの機会には、特定の年齢層だけで集まるよりも、異なる世代が共に交流する方がいろいろな意味で互いに学ぶことが多いものです。これは実際にカレッジを運営してみるとよくわかります。

豊かな高齢社会とは、高齢者だけが豊かになる社会ではありません豊かな高齢社会とは、高齢者と若者という異なる世代が互いに仲良く、協調し、双方の世代の関係性が豊かになっていく社会なのです。

スマート・エイジング・カレッジは、まさにそのための協働作業を行う新たな学び舎なのです。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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