キャンパスに「カレッジリンク型」老人ホームを

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2005年5月20日 社団法人 私立大学連盟 大学時報5月号

日本の大学にとっての新たな社会的役割と事業機会

日本の大学は、いま、大きな岐路を迎えている。少子化で年々生徒が減少し、質の高い学生の獲得競争は、年々激しくなっている。

一方、独立行政法人化の動きで、市場原理を導入した合理的な経営を取り入れざるを得なくなっている。大学も差別化が必要な時代だ。

カレッジリンク型シニア住宅は、このような少子化・高齢化・大学経営の合理化という時代の流れに合致しており、多くの関係者に有形無形の利益を生み出すものである。

これまで大学は長年、主に若年者の教育機関としての役割を担ってきた。だが、これからの高齢社会においては、新たな世代間教育の提供者としての役割も担う時代となる。

それは、単に社会貢献的意義だけを錦の御旗にするのではなく、大学経営の新たな差別化戦略として実行するのが妥当だ。 そのためには、大学関係者に「経営者」としての感覚が強く求められるだろう。

こういう話をすると、「日本の大学はアメリカとは違い、官僚主義が強く、そんなことは難しい」という人も多い。だが、日本に比べて相当開放的に見えるアメリカの大学でも官僚主義は歴然と存在する。

そもそも官僚主義は、大組織であればどんなところにも存在する普遍的なものである。官僚主義のために新しいことができないという人は、自分自身が官僚主義に安住しているに他ならないことは、黒澤明監督が50年以上前に製作した映画「生きる」で語られているとおりである。

日本でも退職後に大学の公開講座などに通う人が増えているし、大学院で自分の好きな勉強をしたいという人も少なくない。これからいわゆる「リタイアメント」の年齢に近づく団塊世代は、高齢になっても、リタイアせずに、これまでの高齢世代より、さらに知的に活動的になるだろう。

従来の、社会から孤立した「ケア・モデル」のコミュニティではなく、ロングビューが実践している、あらゆる世代との社会的交流を促す「ソーシャル・モデル」のコミュニティつくりは、アメリカでも斬新な試みとして注目されている。将来の大統領候補と言われるヒラリー・クリントン上院議員も注目者の一人だ。

(本文より抜粋)

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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