シニア顧客への効果的なリーチ手段とは?

新聞・雑誌

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第104回

シニアへの効果的なリーチ手段は商品やサービスの種類により異なる

シニア顧客への効果的なリーチ方法を知りたいという相談をよく受ける。結論から言うと、効果的なリーチ手段は提供する商品やサービスの種類により異なる。今回は商品やサービス別に有効な方法を紹介しよう。

金融商品(特に投資型商品)

株や投資信託などの投資型商品は非常にプライバシー性が強いので友人や知人はおろか、家族にすら相談することの少ない商品だ。

このため、購入する人が独力で情報収集する傾向が多く、新聞・雑誌の記事、インターネットの情報、金融機関や証券会社などがスポンサーのセミナーなどで情報を得る。そして、さらに詳細な情報が必要になると銀行や証券会社などのスタッフの意見を求めることになる。

旅行商品

ネットをあまり使わない人は新聞・雑誌の広告や駅や旅行会社の店舗にあるチラシをよく見ている。一方、ネットを使う人は、まずサイト上の情報をよく見ている。

どちらの人も特に重視するのは、信頼できる友人・知人の意見だ。「○○に行った時、××がとてもよかったよ」という情報を、意思決定の参考にしている。旅行代理店の意見も聞くが、現地を訪れたことのない代理店スタッフの意見より、実際に訪れたことのある人の意見を重視する。

趣味・習い事商品

女性の場合には一般に、自分が習いたいと思う講座の講師は誰か、教室の雰囲気はどうかということを気にする。だからパンフレットの情報より、そこに行ったことのある人の意見を聞いたり、ネット上のクチコミ情報を丹念に見たりする。

最終的には、実際に自分の目で雰囲気を確かめて意思決定をすることが多いようだ。趣味・習い事はコト消費型商品なので、「本当に楽しめる雰囲気なのか」「役に立ちそうか」ということをしっかり確かめることになる。

スポーツジム

スポーツジムのような地域密着型の商品の場合は、新聞の折り込みチラシを宣伝媒体として使うことが多い。「2ヵ月間会費無料」「入会金無料」などのお得感のある情報を折り込みチラシで訴求することが多いのだが、実はこのやり方は飽きられている。

シニア層の場合は健康増進、体力向上を目的としているので、実際に効果があるトレーニングができるかどうかを重視する。「本当にやせられるか」「体力がつくか」「どのようなサポートをしてくれるのか」を確かめたいと考える。だから、圧倒的に友人・知人の意見、口コミが有効だ。利用者は最終的には、雰囲気を自分の目で確かめてから意思決定する。

健康食品・化粧品

シニアをターゲットとした健康食品と化粧品は、メディアへの露出が最も多い商品ジャンルだ。BSやCSテレビの通販番組では、多くの商品が登場している。新聞・雑誌・ネット上の広告も多く見られる。大激戦になっているので、商品をどのように差異化するかがポイントとなる。

この種の商品は効能と価格が重要な意思決定要因、つまりコストパフォーマンスが重要視される。たとえば、少し前にサントリーウェルネスが「F.A.G.E.[エファージュ]」というスキンケア商品を告知した時には、テレビCMと同時に新聞一面広告を出し、さらに折り込みチラシ広告を入れるメディアミックスの大量広告作戦を展開した。

一気にブランドを浸透させようという狙いだったが、最終的にはその商品にどれだけ「効能があるか」がリピーターになる決め手になる。

住宅リフォーム

数百万円程度かかる高額出費なので、価格とできあがりの品質に敏感になる。リフォーム業界には特定の巨大メーカーやチェーン店はない。地元の工務店、リフォーム店が大半だ。しかし、リフォームは「やってみないとわからない」性質の商品であるため、友人・知人、家族などの評判情報を大いに参考にする。

ターゲット客に何を訴求したいのかで手段を決める

以上、総じて言えることは、商品やサービスの種類によって、シニアに好まれるメディアの種類は変わるということだ。また、同年齢のシニアでもネットの利用度合いによって好まれるメディアの種類が変わってくる

だから、どのようなターゲット客に対して、何を訴求したいのかをじっくり考え、それにふさわしいメディアとアプローチ方法の組み合わせを決定すべきなのである。

成功するシニアビジネスの教科書
シルバー産業新聞社

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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