家族形態の変化に需要 外食・小売り対応急ぐ

ファミレスのシニアシフト 新聞・雑誌
ファミレスのシニアシフト

日本経済新聞 2013629日朝刊

もはやファミリー向けではなくなったファミリーレストラン

629日の日経朝刊・企業総合面に「ガスト改装 脱・家族頼み 単身会社員やシニアに的」という記事が掲載され、私のコメントが最後の方に引用されました。

拙著「シニアシフトの衝撃」の第1章  加速化が止まらないシニアシフトの流れ、「もはやファミリー向けではなくなったファミリーレストラン」のなかで述べているとおり、従来「ファミリーレストラン」と呼んでいた業態は、既に顧客がファミリー層のみではなくなっていました。つまり、ファミリーレストランという分類自体がすでに過去のものになっているのです。

にもかかわらず、ガストのような、いわゆるファミリーレストランはその業態を変えてきませんでした。それがようやく本腰を入れてシニアシフトに注力するというのがこの記事の意味です。

顧客層が変化しているにもかかわらず、供給者の論理で業態を続けようとして業績不振に陥っている業態は、何もすかいらーくだけではありません。

実はこうした例はまだ多数見られます。シニアシフトという市場の流れを正確につかみ、他社に先んじて手を打つスピードがますます求められています。以下、日経新聞記事からの引用です。

シニア、単身世帯はこれまでのファミリー世帯よりもはるかに多様

外食チェーンや小売業は単身者やシニア層の需要の変化を追いかけている。若い世代向けの店で事業を広げたワタミは年配層を狙った居酒屋「炭旬(すみしゅん)」の展開を始めた。1人当たりの支払額は3000円と高めだ。

イオンは全国のスーパー1000店以上の開店時間を午前7時に繰り上げ、行動する時間帯が早いシニアを取り込み売上高を伸ばす。イトーヨーカ堂や食品スーパー各社は単身者を狙い少量の総菜の品ぞろえを増やした。安さだけでなく「適量」への需要に応える試みだ。

背景には高齢化と日本の「標準的な家族」の変化がある。2010年には単身世帯の数が夫婦と子供で構成する世帯を逆転。単身世帯は全体の3割を超えた。65歳以上の人口の割合も年内に25%を超える見通しだ。

人口が減るなか、単身者やシニア市場は数少ない成長分野。SMBC日興証券の宮前耕也エコノミストは単身世帯の消費市場規模を60兆円弱と試算する。シニア市場は100兆円を超えるという別の試算もある。

東北大学の村田裕之特任教授「シニア、単身世帯はこれまでのファミリー世帯よりもはるかに多様」と指摘する。成長市場を攻略するには店舗や顧客に応じ、きめ細かく対応を変える柔軟性が必要としている。

シニアシフトの衝撃

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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