Asia Pacific Eldercare Innovation Awards 審査員総括

国際活動
The 9th Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsセレモニーの様子

The 9th Asia Pacific Eldercare Innovation Awards

5部門で日本企業が受賞

先週シンガポールで第9回Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsのセレモニーが開催され部門別の優秀企業が発表されました。

これはAgeing Asia社主催でアジア太平洋地域の高齢者ケア分野の優秀事業者に贈られるものです。

私はこのアワード創設以来、審査員を務めていますが、今回は次の5部門で日本企業が受賞しました。おめでとうございます!

BEST SMART CARE TECHNOLOGY – OPERATIONAL MANAGEMENT SOLUTION
WINNER: High-quality Care Service realized by “Real Data Management” by SOMPO Care Inc., Japan

BEST DEMENTIA CARE PROGRAMME
WINNER: To create 100 community bases for people living with dementia to live and work with their peers by 100BLG Ltd, Japan

INNOVATION OF THE YEAR – CAREGIVER MODEL
WINNER: Kaigo Leaders Model by Blanket. Inc, Japan

INNOVATION OF THE YEAR – DEMENTIA TECHNOLOGY SOLUTION
WINNER: Cognitive training with real-time neurofeedback technology by Guardforce, Hong Kong SAR China & NeU Corporation, Japan

INNOVATION OF THE YEAR – PRODUCT
WINNER: Multi-position bed to support activities of daily living from sleep to standing up by FRANCEBED, Japan and MEISEI & CO., LTD. Singapore and Japan

日本企業が5部門で受賞できた背景は?

審査の公平性を期すために、日本企業がノミネートした部門では私のような日本人の審査員は参加しないようになっています。したがって、上記5社は日本以外の国の審査員に選ばれたということです。

従来、日本企業のプレゼンは、運営している高齢者住宅・介護施設、提供サービスの「内容力」で優っており、これで評価される傾向にありました。つまり、言葉のハンデを内容でカバーできたのです。

一方、審査員は外国人であるため「英語による適切なプレゼン力」が不可欠です。ところが、介護業界の人にはこれが不得手の人が多く、せっかくよいサービスをしていても、それが伝わらず受賞できないことがしばしばありました。

今年度、日本企業が5部門で受賞できた背景には1)オンラインでの審査のため、資料をわかりやすく、効果的に準備できたこと、2)外国のパートナー企業と組んでノミネートすること、で言葉のハンデを減らしたことが挙げられます。これは日本企業が今後も受賞者を多く出すためによい方法と思います。

今後は他の事業者にはない「オンリーワン」の差異化が必要

他方、コロナ禍によるオンライン化により、オーストラリアをはじめとする英語圏の事業者の参加の敷居が下がり、ノミネートが増えました。このため全般に似たようなサービス内容となり、日本企業の優位性が出しにくい状況になりつつあります。

今後の受賞のためには、これまで以上に、他の事業者にはない「オンリーワン」の差異化が求められることでしょう。日本の介護業界の人は公的介護保険に収入を依存するため、国内のことだけで手いっぱいで視野狭窄に陥りがちです。

オンライン化は敷居を下げて国際的な視野を持てるよい機会です。ぜひ、来年度も多くの日本企業の皆さんに挑戦して頂きたいと思います。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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