2006年3月2日 関西経済同友会会報1月号 人口減少・高齢社会委員会講演
1.スマートシニアの時代到来
日本の団塊・シニア世代の近未来動向を考える上で、米国シニアの事例が非常に参考になる。両国ともスマートシニア(賢いシニア)が増えている。従来の社会的弱者としての高齢者のイメージではない。
私が7年前から提唱している『賢く、知的で格好よく老後を生きる21世紀型シニア』が日本社会の現実に普通に見られるようになってきた。国家による社会保障が薄い米国では、多くの社会的サービスが民間主導で供給されるため、人々には初めから官に頼らない気風が強い。
米国のシニアは日本に比べてはるかに自立意識が強く、自分の健康は自分で守り、60歳代前に独立し、雇われない生き方を好み、老後も子供との同居をしない。現在、世界最大のシニアのNPO AARPが最も力を入れている事業の一つがReinventing Retirement (リタイアメントの再創造)である。明るい高齢社会の展望は少子化に必ずプラスになるはずだ。
2.多彩なシニアビジネスの事例
米国では、多彩なシニアビジネスが成長している。ナノコーポ、ル・ティップ、HOHO、カレッジリンク型コミュニティなどである。(著作「シニアビジネス『多様性市場』で成功する10の鉄則」(ダイヤモンド社)参照)
ナノコーポは、長年、大組織で他人のために仕事をしてきたシニアが、自分の経験を活かして自分のやりたい仕事で収入を得て、働く社員一人程度の、でも自分サイズの事業規模にこだわり、拡大を目指さないとの意味が込められている。大企業を辞めてもそのままリタイアするのではなく、自らナノコーポを起こし、働き続けるシニアが増えている。