レジャー産業資料3月号 2006年3月1日

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2006年3月1日  レジャー産業資料3月号 book review
 
本書を手に取ると、冒頭で「『2007年問題』の誤解」との興味深いフレーズが目に飛び込んでくる。団塊世代の定年退職がはじまることで予想される諸問題が、一般的に「2007年問題」と称されているが、著者は定年の延長制度や早期退職などで”60歳=定年退職”という図式はもはやあてはまらず、多様化するライフスタイルを背景に、すでに「2007年問題」ははじまっていると説き明かす。

かねてから、団塊世代を「多様なミクロ市場の集合体」として提唱してきた著者が、団塊・シニアマーケットの現場における「壁」を乗り越えるための発想転換のヒントを7つ提示するというのが本書の趣旨だ。

その内容は、著者自身のシニアビジネス分野での新規事業企画や立上の経験に基づいたもの。各々エッセンスに対し、国内の具体的な事例や海外の先進事例なども数多く紹介され、机上にとどまらないビジネス視点での論旨が展開されている。

いま、多くの企業が団塊・シニア市場の開拓を模索している。いかにして、早いテンポで変化し、多様性が極まるこのマーケットで顧客支持を獲得するか—。著者は、起業が新規事業に取り組むべき真の目的を、「事業規模の拡大」より「市場適応力の拡大」であるとして本書を結ぶ。

本書は団塊・シニア市場を 対象としているものの、ライフスタイルや消費の多様化は、団塊・シニア世代に限ったことではない。現代の消費者は賢く、価値観の多様化がますます進んでいる。シニアマーケットの「壁」を乗り越えるヒントの集成は、実はすべてのマーケットに通じるのではないだろうか。

読者自らがターゲットとしているマーケットに置き換えることで、ビジネスモデルの発想転換を可能とし、新たな視点を得ることができる。団塊・シニア市場に携わる事業者や担当者だけでなく、さまざまなシーンでの活用ができそうだ。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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