保険毎日新聞3月1日号 2006年3月1日

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2006年3月1日  保険毎日新聞3月1日号 新刊紹介
 
「2007年問題」は、保険業界にとっても大きな関心事であろう。団塊世代が一斉に定年退職することで退職金市場などの新たな市場が期待されるからだ。

だが、本書の著者はそうした市場の捉え方が大きな”誤解”であるという。その理由は、高度成長期の「均質のマス・マーケット」としての団塊市場と、経済成熟期の「多様なミクロ市場の集合体」としての団塊市場とは「市場の性質」が根本的に異なり、「団塊=大きなかたまり」と読むと市場を見誤るからだ。

こうした”誤解”が原因でビジネスの現場で直面する「市場調査の壁」「顧客開拓の壁」「商品開発の壁」など7つの壁について分析し、ユニークな洞察と事例が紹介されている。

特に保険業界に役立つと思われるのは、「顧客維持の壁」に焦点をあてた第5章の「囲い込む」という発想を捨てよ、の箇所だ。苦戦事例に共通しているのは「いかに顧客を囲い込むか」という発想が背景にあることと指摘する。

その対応策として著者は、ミスターハンディマン、パルシステム、ユーリーグなど日米の成功例を具体的に挙げ、顧客に信頼される会員制サービスで目指すべきなのは、「顧客を囲い込む」のではなく、「顧客の駆込み寺」になることと断言する。

同書にはこうした「発想転換」のヒントが豊富な事例と共に数多く述べられており、団塊・シニア市場のみならず、広くビジネス一般に役立つ内容となっている。だが、本書の真骨頂は、単にビジネスのヒントを述べるにとどまらず、いかなる姿勢でビジネスに取り組むべきかの心得にまで踏み込んでいる点にある。

「いつか、日本のシニアビジネスが世界の注目を浴びる日が来るとき、単にその商品・サービスの素晴らしさだけが注目されるのであってはならない。それらを生み出し、経営する日本人の「精神」こそが、真に注目され、尊敬されるべき」という言葉で終わる本書は、巷にあふれる団塊世代をターゲットにした安易なマーケティング書とは一線を画している。現場のマネジャー必読の一冊だ。

主な内容は次のとおり。

プロローグ 現場のマネジャーへのエール

序章 団塊・シニアビジネスの現場で直面する「7つの壁」

第1章 市場調査はあてにするな―「デジタル分析」から「アナログ直感」へ

第2章 商品を売ろうとするな―「商品」から「商品体験」へ

第3章 商品に惚れた消費者に語ってもらえ―「消費者」から「語り部」へ

第4章 売れる商品は顧客につくってもらえ―「使い手」から「担い手」へ

第5章 「囲い込む」という発想を捨てよ―「囲い込み」から「駆込み寺」へ

第6章 ビジネスモデルの視野を広げよ―「単独孤立型」から「連絡連鎖型」へ

第7章 新規事業の目的を変えよ―「売上げ拡大」から「適応力拡大」へ

終章 スマートシニアの時代

エピローグ シニアビジネスで世界のリーダーになれる日本

 

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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