フジサンケイビジネスアイ 2006年6月27日
シニア住宅で大学教育
関西大など連携、08年開講
関西大学(大阪府吹田市)と社会開発研究センター(東京都港区)、老人ホーム運営会社のアンクラージュ(兵庫県尼崎市)は26日、大学教育とリンクしたシニア住宅事業を2008年度から開始することで合意したと発表した。
国内の大学で高齢者が科目を履修する制度はあるものの、グループ単位で受け入れるのは初めて。関西大学の河田悌一学長は「大学としての社会貢献の一環として取り組みたい」と話している。
アンクラージュが神戸市灘区に建設中のシニア住宅(高齢者向け共同住宅)「アンクラージュ御影」の入居者を対象に、同大学文学部がさまざまな教育プログラムを提供する。
具体的には、同大学文学部の200科目と教養180科目を対象に、科目履修生や聴講生、 社会人学生として学ぶ「オンキャンパス・プログラム」と、シニア住宅内で開講される「オンコミュニティー・プログラム」がある。講座カリキュラムの開発や運営ノウハウは社会開発センターが提供する。07年度には10程度の講座で構成される「プレコース」を開設する計画だ。
一方、シニア住宅は、健常者用220戸と介護用63戸の計283戸で、07年末に完成させる。同大学の受講者は同住宅から専用シャトルバスで通学できるという。
大学とリンクする住宅は、米国では20大学が実施。高齢者の生活満足度を引き上げ、介護比率が低下する効果や若い学生との交流で学生側のメリットも出ている。とくに日本では07年以降に団塊世代が60歳の定年を迎え、大量に退職することから、高齢者を受け入れる教育が必要と判断した。