10月21日 日本経済新聞
9月14日に東京・大手町の日経ホールで開催された日経スマート・エイジング・フォーラムでの基調講演「スマート・エイジングの考え方と実践」の講演要旨が掲載されました。詳細は紙面または電子版をご覧ください。
デスクがつけた表題の文言が、講演で私が伝えたかったメッセージですので、それに関連する話を以下に述べます。
私たち一人ひとりがスマート・エイジングを実践し、自分らしく元気にいきいきと過ごし、なるべく要介護・寝たきり状態にならなければ、医療費も介護費も少なくなります。
そうすれば、私たち個人の出費が減るだけでなく、国家の出費も減ることになり、医療費や介護費の増加を理由とした増税は不要になります。
さらに、一人ひとりの気持ちが明るくなり、活動意欲が湧くと、旅行に行ったり文化的な活動をしたり、そのための靴や洋服、道具を買う、といった消費需要が新たに生まれます。その結果、経済が活性化します。
このように、一人ひとりが自分らしく元気にいきいきと過ごせるようになれば、身体面と精神面での健康が改善されるメリットだけでなく、経済面でのメリットもあるのです。
言い換えれば、スマート・エイジングを実践することによって、人間が本来持っている「生きる意欲」をかき立てることが、結果として最も自然な介護予防になるのです。
ですから、これからの企業は一人ひとりの「生きる意欲」をかき立てる商品・サービス開発に注力すべきなのです。そして、政府は高齢者が増える分だけ医療・介護予算を増やすという発想ではなく、一人ひとりの「生きる意欲」をかき立てるための研究や商品・サービス開発の支援に注力すべきだと思います。
こうして心身ともに健康で活動意欲に満ちた高齢者が社会に溢れ、その元気な姿を日々目にするようになれば、次の世代も「自分たちも同じようになりたい」と見習おうとするでしょう。そうすれば、世代を超えた良い循環が社会に生まれるようになるでしょう。