シニアの空き部屋活用 国内でも急成長

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シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第114回

自宅の空き部屋を提供する「ホスト」と宿泊を希望する「ゲスト」を、ネットで仲介するサービスで急成長中のAirbnb(エアビーアンドビー)

このたび同社が日本を含む40か国、約38,000人のホストの調査を実施、国内シニア(60歳以上)ホストに関する調査結果を発表した。大変興味深い結果なので、今回はその要点を紹介したい。

要点1:国内のシニア・ホスト数が前年比235%の伸び、年代別で最も成長率が大きい。

国内のシニア・ホストは約900人で、男女比は6:4。その36%が退職者あるいは無職の方。ホスト数の成長率は、高年齢になるほど大きくなる傾向にある。

要点2:シニア・ホストの割合は、地方都市で高い。

シニア・ホストの割合の高い都市ランキングは次の通り。

1位:和歌山県田辺市
2位:静岡県伊東市
3位:滋賀県大津市
4位:群馬県高崎市
5位:奈良県奈良市
6位:神奈川県小田原市

ちなみに、1位の田辺市はユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれる街。2位の伊東市は富士箱根伊豆国立公園の一部で、温泉地としても有名。3位の大津市は有名な比叡山延暦寺があるとともに、京都に近いベッドタウン。

4位の高崎は群馬県最大の都市だが、一昨年世界遺産に指定された富岡製糸場に近い。5位の奈良市は言うまでもない観光地。6位の小田原は箱根に近い。

ランキング上位の地方都市を眺めると、世界遺産や温泉、有名な観光地のそばという共通点がある。一方、こうした場所では高齢化率が高く、シニア人口も多いため、シニア・ホストも多くなる。

見方を変えれば、これらのランキングにまだ入っていない観光地や温泉地のそばの地方都市で今後シニア・ホストが増加する可能性が十分にある。シニアが地方活性化の担い手になる有力な方法だ。

要点3:シニア・ホストでは自宅空き部屋などの個室の提供が70%で、他の年代に比べ、その割合が高い。

子育てが終了し、いわゆる「空の巣症候群」になった人、配偶者と死別し、一人暮らし世帯になった人などがホストになっている例が多い。

ホストになると自宅空き部屋などの活用で年金以外の副収入を得られ、経済的に余裕ができる。また、国内外からの観光客との交流で孤独の解消になり、精神面の健康増進につながる。

これまで拙著等で何度も述べたように、シニアの三大不安は、健康不安、経済不安、孤独不安。ホストになると、この三大不安を解消し、生活を豊かにできる。

要点4:シニア・ホストの70%が最高評価を獲得、年代別で1位。

日本最高齢ホストの暎子さんは「Airbnbのゲストはお客様という感じではなく、旧友が遊びに来てくれるといった感覚で出迎えており、どんどん友達が増えていることに歓びや楽しみを感じる」と話している。

また、「特におもてなしに大きな気を使っている訳ではなく、国籍や年齢に関係なく、一緒に楽しい会話に参加し、お友達のように接している」とのこと。

こうした自然体の「普段着のおもてなし」を受けられ、現地の日常生活が体験できることがゲストにとっては大きな魅力なっている。

「シェアリング・エコノミー」の代表として挙げられるAirbnbは、超高齢社会における空き家・空き部屋などの有効活用に加えて、シニア層の新たな役割つくりという付加価値を生んでいる。

旅館業からの反発も多い民泊だが、政府は早急に民泊新法を制定し、既存のホテル・旅館との棲み分けをして、民間活力による空き部屋とシニア層という二つの遊休資源の活用を支援すべきだ。

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シルバー産業新聞社

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