介護事業者に親和性の高い保険外ビジネスの例

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高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功の12のヒント 第10回

介護事業者の強みの一つは「地域密着性」にある。これを活用すると、介護保険事業に親和性の高い「保険外ビジネス」の可能性が考えられる。そのヒントになる事例をご紹介しよう。

一つは、東京・大森にある「ダイシン百貨店」だ。ここの売りは徹底した地域密着によるシニア好みの店づくり。例えば、ここの漬物売り場には300種類以上の漬物がある。理由は、顧客からリクエストのあった商品は、たとえ滅多に出ない商品でも必ず取り寄せるからだ。

一方、こうしたやり方は手間がかかり効率が悪く見える。だが、顧客にとっては、「たとえ1品でも頼めば取り寄せてくれる」というのが嬉しい。だから、店に対しての信頼感が格段に上がる。すると、来店頻度も上がり、「ついで買い」の機会も増えるのだ。

もう一つは、東京・町田にある「でんかのヤマグチ」だ。従業員40人、周囲に6店の家電量販店に囲まれながら17期連続の黒字を維持している家電店だ。この店の特徴は、ものを「高く売る」。たとえばテレビは一般的な量販店の2倍の値段でも売れる。

その秘密は、顧客を町田市内の高齢者に絞り込み、徹底した顧客サービスを行うことにある。テレビとレコーダーを買ってもらったら顧客の自宅まで届け、配線して設置する。電球1個でも交換の依頼があれば、すぐに顧客宅に行き、交換する。顧客の留守の間に郵便物を受け取ることもある。

また、営業担当者がクルマで地域を巡回中、顔見知りの顧客を見かけると声をかける。「これから病院に行くのよ」という返事があれば「それなら、すぐそこですから乗っていってください」と病院まで送る。

顧客に困りごとがあったら、1分でも早く駆けつけ、とことん手助けをする。この積み重ねで、顧客から深い信頼を得ると、多少高くても本業の家電製品を高く買ってくれるのだ。

この二つの事例の共通点は、自社のコア事業があり、その付加価値を高めるために地域密着サービスを徹底していることだ。

成功するシニアビジネスの教科書

高齢者住宅新聞

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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