リタイア・モラトリアムが促す解放型消費の行方

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2008年2月号 りそなーれ 特集 団塊消費の虚実を探る

団塊消費を取り込む商品・サービスをつくるにはどうすればよいか。必要なことは二つある。第1に、団塊世代が置かれている心理的・社会的変化に対する理解。第2に、こうした環境におけるライフスタイル変化に対する洞察である。

(中略)

こうした商品・サービスを考える際、リタイア・モラトリアムの当事者にとってのメリットに目を向ける必要がある。それは当事者が定年退職後にパートタイム勤務を選択すると、①平日の自由時間が飛躍的に多くなるにもかかわらず、②可処分所得水準がそれほど変わらず、③会社の看板・信用・ネットワークを活用して働き続けられることだ。これらのメリットが解放型消費を促す要因になることにも留意したい。

(中略)

会社時代は「会社の使命(コーポレート・ミッション)」があり、社員はその達成を拠り所に社業にいそしんだ。しかし、生活の中心が、会社から個人になるにつれ、こうした拠り所がなくなる。「会社の使命」という思い足かせから解放され、自由気ままに過ごせるという人も多いだろう。

一方で、解放段階にあるリタイア・モラトリアムの人は、会社中心生活から解放される反面、体力の衰えで、後半生でやれることに限りがあると感じるため、「いまやるしかない」という気持ちが強くなる。

この結果、「自分のやりたいこと・やるべきこと(パーソナル・ミッション)」の実現に最も高い価値を置くようになる。ということは、他のことには出費を惜しんでも、自分のやりたいことの実現のためには、それなりの出費はするということである。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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