目立つ夜型シニア 仕事後に買い物・飲食

目立つ夜型シニア 日経新聞 新聞・雑誌
目立つ夜型シニア 日経新聞

日本経済新聞夕刊 2014625日 読み解き現代消費

高齢者の生活スタイルは朝型だと思われているが夜型消費も目に付き始めた

一般に高齢者の生活や消費のスタイルは朝型だと思われている。確かに、早朝に犬の散歩や夫婦でウオーキングをしていたり、開店前の百貨店に行列したりしているのはシニアが多い。

午前7~11時はドリンクにトーストとゆで卵が付いてくるサービスで、朝型のシニア客を取り込んだ「コメダ珈琲店」のような企業もある。

しかし、ここ数年、夜型のシニア消費も目に付き始めた。埼玉県に住む山本次郎さん(65)は毎晩、仕事帰りに最寄り駅近くの食品スーパーに寄り、夕食用の総菜などを買う。「外食ばかりだとお金がかかる」からだ。

JR五反田駅(東京・品川)にほど近い居酒屋では、全員65歳以上のグループ限定の「シニア食べ放題コース」が好調だ。180分飲み放題付きで2680円という割安価格が人気を呼び、シニア層が仕事帰りや趣味の会合などで利用しているという。

高齢者の多様な消費行動を年齢でひとくくりにする画一的な見方が正しくない

シニアの夜型消費が伸びてきた大きな理由は、働き続ける高齢者が増えたことにある。総務省の労働力調査によれば、60歳以上の就業者数はここ10年増え続けており、2013年には1211万人と、15歳以上の就業者数の2割近くになっている。仕事をしている人の5人に1人が60歳以上なのだ。

シニアという言葉にもともと年齢の定義はないが、現状では60歳以上を指すことが多い。実はこれが混乱の元だ。同じ60代でもリタイアした人は朝型の活動が多いだろう。半面、働き続けていれば消費は自然と夜型になる。最近は退職後も社会的な活動や消費に前向きなアクティブシニアが多く、夜型消費はさらに進むだろう。

シニア消費は朝型か夜型か、一見捉えどころがないようにみえる。実はどちらも正しい。正しくないのは、年配者の多様な消費行動を年齢でひとくくりに区切る画一的な見方なのだ。

成功するシニアビジネスの教科書

第1章   シニアの消費行動はいかにして起きるか?――消費のトリガーは「年齢」ではなく「変化」     

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