毎⽇新聞 2023年7月17日
私への取材を基にしたシニアのポケモンGO利用動向に関する記事が掲載されました。以下は、関連する部分の抜粋です。
50代以上のユーザーが3割近くを占める
ポケモンGOに対するシニアの熱気は統計にも表れている。IT企業「フラー」(新潟市)のアプリ分析ツール「AppApe(アップ・エイプ)」によると、ポケモンGOの年代別利⽤割合(23年5⽉)は20代12%▽30代29・9%▽40代21・8%▽50代18・8%▽60代以上10・9%――となっている。50代と60代以上のシニア層は計29・7%と3割近くを占める。
⽉20⽇以上利⽤するポケモンGOのヘビーユーザーではシニア層の⼈気が際⽴つ。20代はピーク時からほぼ半減し、今では1割未満となっている⼀⽅、シニア層は4割を占める。
フラーの広報担当者は「普通のゲームアプリでは、シニアの利⽤がほとんどないことも珍しくない。ポケモン GOはシニアの占める割合が他のアプリと⽐べ突出して⾼い」と指摘する。
シニア向けビジネス研究の第⼀⼈者で、東北⼤の村⽥裕之特任教授は「シニアビジネスの基本は、『健康、経済、孤独』というシニアが抱える3⼤不安をいかに解消できるかが鍵。ポケモン GOはこうした不安に的確に応えている」と⼈気の理由を分析する。
世代を超えたプレーヤー同⼠の交流のきっかけにも
健康以外に実⽣活で役⽴てている⼈もいる。宮城県南三陸町でピアノ教室を経営する50代後半の斎藤左恵⼦さんはコミュニケーションツールとして果たす役割の⼤きさを実感している。
教室には3〜45歳の幅広い年代が通うが、ポケモンGOが共通の話題として活躍する。斎藤さんは「ゲームでは⼦供たちが先輩。『これはピカチュウだよ』などと教えてもらうと、緊張が解けて雰囲気も明るくなる」と話す。
斎藤さん⾃⾝も教室に通う児童から「先⽣も遊んでみたら」と誘われたのを機に始め、同僚同⼠の会話も増えた。ポケモンGOがきっかけで30分のウオーキングが⽇課となり、プレーヤー同⼠の交流も⽣まれている。「違う世代の⼈とも⾃然に会話できて、⽣活のちょっとした喜びにもなる」と語る。
村⽥教授は「コロナ禍の在宅勤務やオンライン授業で、他⼈との交流機会が減り、孤⽴への不安は幅広い世代に広がった。30年近い歴史があるポケモンなら親⼦や孫の世代が同じように盛り上がれる。若い世代と話すきっかけを得られるところが、シニアに⽀持される⼀因だろう」と話す。