日経ヴェリタス2012年3月25日号 「老い風」をつかもう
課題先進国ならではの強みを現地で発揮
先手を打ったその先、日本企業が世界の「15兆ドル(約1200兆円)市場」を制するための条件は何か。高齢者市場に詳しい東北大学の村田裕之特任教授は「国や地域ごとに異なる高齢化のスピードと現地ニーズ」を複眼で分析し、自社の強みをいかに的確に重ね合わせていけるかがカギだと説く。
例えば国土が狭く、高層マンションに住む人が多いシンガポールや香港なら、高齢者を「買い物難民」から救う宅配便や宅配弁当、コンビニエンスストア事業などが理にかなうという。
実際、ヤマトホールディングス(9064)は10年にシンガポール、昨年は香港に進出した。ファミリーマート(8028)は50~65歳向けの商品を開発する「おとなコンビニ研究所」を1年半前に設立。「国内で開発したシニア向け商品を今後、高齢化が急速に進む中国などにも投入する可能性がある」(同社役員)とタイミングをうかがう。
課題先進国ならではの強みを持つ日本企業。世界の高齢者需要をつかみ取れば「シルバー時代のブルーチップ」として、株式市場でも息長く評価されるだろう。
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