書評:いくつになっても脳は若返る 

2006年10月30日 Iza 書評

■加齢イコール成長  

成人したあとも、脳の神経細胞が新たに生成され続けるなんて、本書を読むまで知らなかった。脳科学者の間では常識となっている科学的に立証された事実なのだそうだ。はるか昔に学校の先生に、「大人になったら脳の神経細胞は死滅する一方なのだから、今のうちに一生懸命勉強しておけ」と言われたことを今の今まで信じていたが、それはすでに1960年代に実証的に覆された誤った認識だったのだ。  

本書は老人医療の権威がこうした科学的な事実と長年の臨床経験をもとに「人間の脳機能は年をとるとともに高度化する」ことをわかりやすく解き明かす。それだけではなく、仕事をリタイアしたあとも、有意義で積極的で創造性のある生活をするためのライフスタイルの提案をさまざまな事例を挙げながら試みている。  

本書を読むと、人間は寿命が尽きるまで、加齢イコール成長なのだと悟る。昨今、多くの企業が年齢や経験を軽視した成果主義を導入し、その失敗に気づいて修正し始めていることとも大いに関係があるだろう。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

村田 裕之をフォローする
メディア新聞・雑誌
シェアする
村田裕之オフィシャルサイト
タイトルとURLをコピーしました